ある休日。その日は部活がなかった。そこでレギュラー達はストリートテニス場に行った。
「たまにはいいさ。なぁ樺地。」
「ウス。」
いつもの面子に皆、いつもと変わらない様子だった。
空いているコートはないかと探していると、あるコートにいる見知った2人組み。
基本中の基本である簡単な打ち合いをしていた2人組み。
と
そこにいた3年生レギュラー達は驚いた。
あの2人が、少なくともがテニスをするということが意外だった。
簡単な打ち合いだがその打ち方は2人ともとっても綺麗でまるで手本を見ているようだった。
「あの2人・・・テニスするんだな。」
やっとという感じで宍戸が口を開いた。その声で固まってた他の人らもはっと我に帰った。
「おーい、ー!ー!」
岳人が大声で2人の名前を呼んだ。2人はすぐに気づき、打ち合いを止めた。
「なんでお前らがここにいるんだよ。」
「それはこっちの台詞や。」
「だって、跡部がこんな庶民的な場所にいるわけないだろっ」
何気に言ってることが酷い。しかし、ウンウンと頷いている宍戸、鳳、岳人。
「たまにはいいだろ。なぁ、樺地。」
「ウス。」
もの近くに来て、にタオルを渡した。はニッと笑ってサンキュと受け取った。
「皆さん、今日は学園で部活動をされなかったんですか?」
が軽く汗を拭きながら尋ねた。
「基本的に今日は部活がねぇんだ。」
跡部が素っ気なさそうに答えた。後ろのほうで岳人がニヤニヤしている。
「そや!よかったら俺らと試合せぇへん?」
忍足がたちに試合を持ちかけた。
「ぇ・・・」「はぁ?」
とが同時に声を出した。同じ女でもこうも反応に差が出るものか(笑)
「そんなモン、5分で決着つくんじゃないのか?」
「ちょっと無謀ですね・・・」
ようはやっても結果は見えてると言うことを言いたかった二人。
「ちゃんと手加減してやるさかい。どや?練習やと思えばえぇやん。」
「私は遠慮しておきます。さんは試合されてはいかがですか?」
に勧められては断れなかった。自身、忍足と試合してみたいとは思うのだ。
「おしっ!頼むぜ、忍足!」
「おう、任しとき!」
珍しい2人の試合が始まった。
審判をしているのは宍戸。2人の試合を一番近いところで見ている。
レギャラー達は驚いていた。氷帝の天才である忍足とまともに打ち合っているのだから。
始めは忍足も本気ではなかった。だが甘く見ていたせいであっという間に3ゲームとられてしまったのだから
本気でないとはいえ、負けるというのは忍足のプライドが許さなかった。
そして3−4で忍足が逆転した。
「おいおい、なんで忍足が汗だくなんだよっ」
「なんでお前こんなに強いねんっ」
「知るかっっっ」
言い合いながらドリンクを飲む2人。続きが始まるまで言い合っていた。
「の奴、こんなに強かったのか・・・。」
「忍足の奴、本気になってるしなー。」
2人の言い合いを半分呆れながら見ているレギャラー陣。その中で言葉を発したのは跡部と岳人。
「凄い人なんですね。さんって。」
を見たことしかない鳳は今、初めてのことを知ったのだ。
「でも・・・」
がポツリと言葉を発すると全員がを見た。
「さん、左利きなんですが・・・」
「ラケット左手に持ってるからそうなんだろうねー。それが何?」
岳人は?マークを浮かべてを見た。
「ですが、さんはテニスでは右利きのはずなんですけど・・・」
「「「「「!?」」」」」
の言葉に皆驚いた。普段とは違う方で試合をしているということは、はまだ本気をだしていないと言うことだ。
氷帝の天才を相手にして・・・
「おい、そろそろ続き、始めろよ」
宍戸が待っていられなくなったのか試合の続きを始めるよう言った。
「むかついたっ!レギュラーでも潰すッッッ!」
「やれるもんならやってみぃやッ!」
くだらない言い合いをしながら持ち場につく。
「ぜってぇ後悔させてやるっ」
そういってはラケットを左手から右手に持ち替えた。
「!?」
忍足は目を見開いて驚いた。がサーブの構えをする。
「行くぞっ忍足ッッッ!」
ボールが上に投げられる忍足も集中して構える。が…ボールが打たれるのとほぼ同時に忍足のコートにボールが着いた。
「「「「「「「!?」」」」」」」
忍足は一歩も動けなかった。いや、ボールが見えなかったのだ。跡部達も驚きを隠せない。
「どうだっ忍足!」
は満足気に忍足に言った。
「おーい、宍戸。コールはー?」
「あ、15−0!」
宍戸もに声をかけられて、コールした。素人があんな球を打つとは思えなかった。
「お前・・・何モンや・・・」
「何者と聞かれると答えようがないんだけど。」
は満足気に言う。忍足はただ驚くことしか出来なかった。
「俺、テニスが好きなだけだ。」
最高の笑顔では答えた。


