跡部とが屋上から出て行った後、と忍足の2人だけとなった。
「でもさぁ…。」
突然、が口を開いた。忍足はのほうを見ての言葉を聴いた。
「お前らも大変だな。あんな奴らに好かれるなんてさ。」
「せやなぁ。あんましつこいとうざいけどな。」
「ま、俺は異性に関して興味はないから。あぁいう奴らのこと、さっぱり分かんねぇ。」
忍足は少しショックだった。異性に興味がないということ。それは自分にもそういった興味はないと言うことだから。
は溜息をついて下のほうを見た。下校していく者、部活動に励む者。
オレンジ色の光の下でいろんな人が何かをしていた。
「・・・ってさ。」
がまた口を開いた。さっきのようではなく少し重く。
「弱い奴ではないと思うんだよねぇ・・・」
さっきまでの強い感じではなくどこか少し弱そうな感じだった。
「ただ、一人でも平気な奴なんだなって思うんだ。」
忍足は黙っての言葉に耳を傾けた。
「孤独、とかじゃなくてさ。一人でも平気なんだよ。あいつ。」
自身も何故か弱々しく見えた。
「たまに・・・思うんだよね。俺がいなくても大丈夫なあいつには俺はいらないんじゃないかって。」
忍足は目を見開いた。の口からそんな言葉を聴くことになるとは思わなかった。
「でも、俺には必要なんだよね。あいつが。」
忍足はただただ聞くことしか出来ない。
「さっきのは助けるべきだったけど。俺ってなんだかんだで過保護かなぁって思ってみたりさ。」
の口調がいつもと同じに戻る。
「どう思う?忍足。」
いきなり聞かれ、忍足は少し戸惑った。
「・・・もしかして・・・聞いてなかったのか?」
「ちゃうって。いきなり俺にふるとは思わへんかったからや。」
「んで、どう思うよ?」
「過保護ではないと思うで?それに、にはが必要やと思うけどなぁ。」
「マジでそう思う?」
「ホンマやて。」
「・・・そっか。」
はどこか嬉しそうな笑みを浮かべた。いつもどおりのだ。
「あ、今のは誰にも言うなよ?お前だから信じて言ったんだからな?」
「分かった。誰にも言わへん。」
「約束だぞ?」
今のはいつもとなんら変わりなかった。忍足はあんな弱々しいを初めてみた。
そのとき、跡部とが戻ってきた。
「ほらよ。」
跡部がにカバンを渡した。
「ぉ、サンキュー。」
はカバンの中からジャージを取り出してそのまま羽織った。そして立ち上がってジャージの前を閉める。
「そいうや、2人とも部活があったんだろ?悪かったな。この時間じゃもう間にあわねぇか・・・」
カバンにつけた時計を見ながらは言う。
「別にかまわねぇよ。」
跡部がそっけなさそうに言う。
「あの、有難う御座いました。」
「別にかまへんから。ほなな。」
「じゃぁな。」
跡部と忍足は先に屋上を出た。
「俺達も帰るか。」
「はい。」
は笑みを浮かべての隣を歩いた。