〜。」
 ひょっこりと教室の入り口から姿を見せたのは。どうやらを探しに来たようだが、本人がいないようだ。
「おい、忍足。知らねぇ?」
「なんで俺に聞くんや。」
 の隣の席の忍足に聞いて見る。が、知らないらしい。
「なんでって・・・お前がの隣の席だから。」
 は忍足の言葉に簡潔に答えた。
「ってかそれ以外に理由も考えられんだろ?」
 たしかにな・・・と忍足は思う。
「ま、いっか。どうせ俺はこれから放課後までサボるし。」
「お前なぁ、授業受ける気ないんか?」
「ないな。」
 呆れた様に言う忍足に即答する
「俺は眠いんだ。教室にいたってどうせ寝るんだし。」
 が氷帝学園の成績トップという事実を本気で疑いたくなった忍足だった。


 放課後
 ちょうど下校時間となり、部活が始まるチャイムの音では目を覚ました。そのとき、カチャ、とドアの開く音がした。
 か?と思って覗いてみるととよく跡部や忍足に黄色い声を上げている女生徒達。
 から見てもなんとも奇妙な組み合わせだった。しかも女生徒たちはえらくを睨んでいた。
 が少し怯えて一歩後ろに下がった瞬間、は突き飛ばされた。
 は思わずバランスを崩して倒れてしまった。
「あんた、少し跡部君に相手にされたからって調子に乗ってんじゃない?」
「優等生だからっていい気になってんじゃないわよッ!」
「跡部君があんたなんかに本気なわけないでしょ?」
「しかも忍足君とも隣の席で一人でいい思いしちゃってさぁ。」
「・・・・」
 は怖くて何も言えずにいた。少し体が震えているのが遠くから見ても分かった。
「何とか言いなさいよッ!」
 そういって左肩に蹴りを入れた。
「っ・・・」
 は蹴られたとこを右手で抑えていた。は女生徒たちの行為に耐えられなかった。
「おいッ!」
 女生徒たちとが声をしたほうに視線を向ける。
「あんたら、何してんだよ・・・」
 は女生徒たちを睨みながらに近づいてを立たせた。そしてを自分の背後に移動させた。
「あんた、邪魔する気?」
「邪魔?別に邪魔する気はないさ。ただ、あんまりにもくだらないと思っただけで。」
 まるで相手を挑発するようには言った。明らかに女生徒たちはキレている。
「あんた、いい気になってんじゃないわよッ!」
「しかも、あんた忍足君と跡部君と話してたでしょッ!」
「成績がいいからって調子に乗ってんじゃないわよッ!」
 に言ったことと同じことをに言う。はオロオロとしての顔を見た。
「・・・なんか、今さ・・・。かなり馬鹿馬鹿しいこと言われた気がするんだけど。」
「なんですってッッッ!」
 どう見たって女生徒たちはキレていた。
「そんなに跡部や忍足と話するのがダメなわけ?」
 はなんら変わりなく言葉を続けた。
「そんなこと言ってたら何もできないし。俺からすれば、あんたらの言ってることの方が訳が分からん。」
 この言葉についに女生徒たちは我慢できなくなった。
「あんた、いい加減にしなさいよ!!!!!」
 一人が手を振り上げる。


『今すぐ跡部と忍足呼んで来い』


 に小声でそう言うと女生徒たちがいないほうにを突き飛ばした。
 に完全に目が向いている女生徒たちはのことを目に留めていなかった。
 に言われたとおり、跡部と忍足を呼びに屋上を出た。
 そして振り上げられていた女生徒の手は・・・の頬に向かって下ろされた。
「っ・・・」
 同様にバランスを崩されて倒れた。だが、そこにすかさず腹部に蹴りを入れられた。
 今度は顔面に蹴りを入れられそうになる。それでも口元の左側をかすっただけに終わった。
「ッ…普段、跡部達の前では大人しいのに本性はこれかよ。これじゃ跡部たちも相手にしないわけだ。」
 どんな目に遭っても、は怯まない。絶対にこんな奴らに屈するつもりはなかった。
 それでもは絶対に手を出そうとはしなかった。
「よく言うわね。跡部君たちに取り入るつもりのくせに。」
「下心ミエミエなのよ。」
「これだから頭のいいヤツって怖いわぁ〜。」
 女生徒たちは好き勝手にいろいろと言っている。それでもの態度は変わらなかった。
「その言葉、そのままあんたらに返すよ。こんな奴らに好かれて跡部たちも不運だな・・・。」
 の言葉は女生徒たちの神経を逆撫でした。
「いい加減にしろっていってんでしょッッッ!!」
 女生徒たちはさらに手を上げようとした。は何とかそれを避けた。
「動き回って鬱陶しいッ!」
「皆、捕まえて!!!」
 4人がを捕まえにかかる。4人が相手ではも逃げ切れなかった。
 はどうすべきかと必死に考えた。それでもいい案は浮かばない。
「ねぇ、どうするぅ?」
「脱がして皆に写メで送るのはぁ〜?」
「それいいわね〜。」
「ってことでぇ〜大人しくしててねぇ〜ちゃん。」
 ってことってどういうことだよッッッ!と、心の中ではつっこみを入れて見る。が、抵抗しようにも両腕を捕まえられてできなかった。
 リーダー格の女がのブラウスに手をかけた。
 ビリビリッ・・・と布が引き千切られる音がそこに響いた。
 前が完全に開いていた。そしてそのまま再び床に突き倒される。
 が女生徒たちの方を向くと全員が携帯をに向けていた。
 チッとが小さく舌打ちをした。
「おいっ、自分ら、何してんねんっ!!!!!」
 今までになかった声に全員が振り返った。