はいつでもいつも通り、学園の一番高いところで寝ていた。。
 昼休みになると校内は賑やかになり、食堂へ行く人、教室で友達と喋っている人と、教科書を開く人はいなくなる。
 男子テニス部レギュラー達は屋上で弁当を食べるべく屋上に集まっていた。
 はそれに気づいていながら見えないとこでゴロゴロとしていた。
 レギュラー達の会話が聞こえるが内容までは聞こえない。別に聞かなくてもいいと思っていた。
「ところでさぁ、跡部。」
「何だ」
「もしかしてさぁ、まださんのこと好きなの?」
 ・・・は?と、は、『』という言葉に反応した。・・・あの跡部 景吾が・・・のことが好き・・・?・・・マジ?
「べ、別にかんけーねぇだろ。」
 ・・・否定しねぇのかよ・・・さて、なんだかなぁ・・・

 カチャ・・・

 ゆっくりと扉の開く音が聞こえた。・・・だ。
「ぁ・・・」
 は、扉を開けた瞬間、屋上に誰かいたので思わず1歩後ろに下がった。
 は明らかに戸惑った様子だった。そこにいたレギュラー達もどうすればいいか分からない。
「なんや、やん。どうかしたん?」
 この沈黙を破ったのは忍足だった。はあいかわらず戸惑ったようだ。
「あの、さん、見ませんでしたか・・・?」
 あまり大きくない声では尋ねた。ソプラノとアルトの中間くらいの澄んだ声だった。
 跡部は、声を発せられずにいた。
「お、来たぁ?」
 聞こえた声がだと分かっては上から飛び降りた。スカートだけど下に短パンはいてるから関係ない。
「もう弁当だっけ?」
「はい。先生が怒っているようでしたよ?大丈夫ですか?」
「あー、気にしないから。あ、、先に教室に戻っててくれるか?」
「はい、分かりました。お待ちしてますね。」
「おー。わざわざ呼びに来てくれたのに悪いね。」
 そういうとに軽く頭を下げて屋上から出て行った。
「さて・・・」
 はくるり、と振り返り、跡部の方を見た。
「あの跡部が・・・ねぇ・・・」
 はまるでため息をつくように言った。



 
 忍足は、なんとも不思議な組み合わせだと思った。

 それが疑問で、気がつけば言葉で発していた。
「しっかし、ってなんか意外な組み合わせやなぁ。」
 忍足は失礼かとも思ったが、既に言ってしまった後だった。
「・・・そんなに意外か?」
「なんや、自覚ないんかいな。」
 意外な返答に、忍足は思わずつっこんだ。
「だって、さんってすっげー大人しくて真面目じゃん?ぜってーと正反対だって!」
「あ、それは認める。」
「認めるんかい。」
 忍足は、何だかと漫才できそうな気分になった。
「さっきだって、さん、明らかに俺達を警戒してたじゃん!」
 ・・・その言葉に、跡部の表情が少し曇った。普通のヤツなら分からないだろうが、忍足には分かった。
 好きな女に警戒されて、ショックを受けないやつもいないだろう。
「あぁ、それは仕方がないな。だって、だし。」
「はぁ?何だよ、それ???」
 岳人は、頭に?マークを浮かべていた。
はいつだってそうだよ。今は仲がいいけど、会ったばっかの頃は最悪だぞ?」
 まるで懐かしむようには言った。
「少しでも仲良くなれば、普通に話せるけどね。」
 跡部の曇った表情も戻っていた。
は普段かかわらない人は警戒してかかるからねぇ・・・。だから、気にすんなよッ跡部!」
 の言葉に、跡部は少し顔が赤くなった。
「べ、別にてめぇにはかんけぇねぇだろッッッ」
「確かに、かんけぇねぇけどさぁ・・・これだけは言っておく。」
 の表情が変わる。
「何があろうと、を傷つけるなら許さない。本気で、お前を潰すからな。」
 は真剣な顔つきで、跡部に言った。凄い殺気で、その言葉が本気だと言う事がその場にいた全員が分かった。
「・・・ま、そういうことだから。 跡部、お前の選んだ壁は高いぜ?」
 ・・・顔つきがいつものに戻る。
「それじゃぁな!頑張れよッ跡部!」
 は、いつもと同じ調子で出て行った。