家に帰ったら、誰もいない。の母親も父親も、今は海外で仕事していて、一人暮らしだ。
 親は、気管支のこと知ってるけど、お前がそうしたいなら好きにしろ、と言ってくれた。
 は、部屋に入ると、持っていたカバンを降ろして、ベットにダイブした。
 ボーっと天井を見つめながら、今日のことを思い出す。

・・・忍足に告白されたことを・・・

 忍足の様子からして、冗談だとは思えなかった。
 自分のことだとも気づかずに、笑って忍足を応援すると言った自分。
 そんな自分が、嫌で嫌でたまらなかった。
「なんで俺ってこーなんかなぁ・・・」
 ・・・どうして相手の気持ちに気づかないんだろうか・・・気づかず相手を傷つけて、気づいた後に後悔する。
 いつもこのパターンだった。後先考えずに行動してしまう、発言してしまう。
 はそんな自分の自己中心的なところが大っ嫌いだった。
 自身、元々1人でいることが好きな人間だった。正確に言えば、人に合わせるのが苦手だった。
 自分のペースを崩されることを誰よりも嫌がった。
 だから、以外とは深くは関わらなかったし、他の人との間にはどこか壁を作っていた。
「やっぱ、人付き合いって苦手だなー・・・」
 しかしどちらにせよ、忍足とのコトは、はっきりすべきだとは思っている。忍足のためと、自分のために。
「嫌いでは・・・ないんだよなぁ・・・」
 1人を好むも、忍足と一緒にいることを嫌だと思ったことは一度もなかった。
 むしろ、楽しいし、変に気を使うこともなかった。跡部もそうだった。
 だからと付き合えるよう応援もした。も、どこか自分のテリトリーを作ってるところがあるから・・・
 見ていて、が自然であることが、分かったから。・・・なら・・・自分はどうだろうかと、は考えた。
 それでも、どんなに考えても、恋愛感情かどうかはわからなかった。
 初めてのコトで、何も分からない状態だった。それとも、もう、答えは出ているのかもしれない
 ・・・本人すらも気づかぬまま・・・