竜崎班、これでは練習にならない。
相変わらず、見てて飽きない奴らだな。
しかし・・・本当に信用ないんだな・・・赤也・・・。
はとりあえず自分が与えられた仕事をこなしていた。
作業能力の高いは仕事を早く終わらせた。
向かった先は、この騒ぎの犯人のところである。
その犯人、橘 杏は、黙々と一人で仕事していた。
まるで、何もなかったかのようにいつもと変わらない態度で。
声をかけようと思って・・・やめた。
「馬鹿馬鹿しい。」
は杏には気づかれないようつぶやくように言った。
赤也が橘に酷いことをしたのは事実だった。
だからと言って許されるわけではないが、言うだけなら誰にだってできる。
杏が赤也のことを理解し、赤也が杏のことを理解しなければ意味がない。
は自分も第3者に過ぎないと思い、言うのを止めたのだ。
「橘。」
は、いつもと同じように杏に声をかけた。
「さん。どうかしたんですか?」
杏の返答もいつもと何ら変わらない。
そうも平気でいられるのか?とは少し杏が信じれなかった。
一人の人間が怪我をしたと言うのに・・・
それでも、はそんな気持ちを気づかれないようにした。
「早く終わったんだが、そっちは何か仕事が残っているのか?」
「あ、こっちももうすぐ終わりますよ。」
杏はいつもの笑顔をに向けた。
「そうか。」
は素っ気無く返事を返した。
「なら、他のところを手伝ってくる。」
「はいッ。」
この笑顔は何なんだろう。
赤也のやったことを考えれば仕方がないか・・・
それでも、彼女の行為は・・・
集団を乱す行為でしかない


