流石、青学だね。父さんが言ってた通り、設備がきちんとされてる。
 実力がどうつくのか、環境も重要な要素だからね。
 それは、人間だって同じことだ。
 …どこにでもいるんだよ、自分の非力さ無力さを隠すために偽る人って…
 それこそが無力さ弱さの証明とも知らないで…


 僕らがテニスコートに行くと、3人の男子生徒が先輩らしき人達にゲームを持ちかけられていた。
 10球以内に缶を倒すというシンプルなゲーム。
 僕達は、そのゲームを外から見ていた。
「…どー思うよ?アレ…」
 が僕に話しかけてきた。何所となく、声が少し低く聞こえた。
「石が入ってるよ。間違いないだろうね。」
 僕は腕を組んだまま、缶を見ていた。多分、今の僕の顔、凄く不機嫌なんだろうね。
 鏡がないから分からないけど、嫌でも昔を思い出すよ。
 …どんなところにだっているんだね。彼らのような人が…そう思うと、少し悲しいかな。
「ところで、そこのチビ…おめーも見てねぇでやれよ。」
 すでに声変わりのした低い声が聞こえて、僕達は視線を向けた。
 …リョーマ…先輩らしき人達はリョーマにもゲームをするように言ってる。
 …バカだね…リョーマなら、アレくらいの的なら十分に当てられるよ。
 彼は小さなサムライだから。少なくとも、今のリョーマは、小さなサムライ。
 だから、無駄だよ、先輩たち。自分たちの失態に気づくといいよ。
「別にいいけど…」
 …クスッ。本当に変わってないね、リョーマ。
 年上に対しても同い年に対してもその態度は変わらないんだから。
「普通に当てるだけじゃどっちみち倒れないよ、あの缶…」
 …リョーマも気づいてたんだね。
「石 入ってるんだろ!?」
 …先輩らしき人達も動揺してる…気づかれてないと思ったのかな?
 でも、相手が悪かったみたいだね。…それにしても、リョーマのフォーム、前より綺麗になってるね。
 まぁ、5年も前の話しだからね…成長してて当たり前…か…
「100球当てれば100万円くれんの!?」
 …生意気さも、変わってないね。5年も経ったのに、本当に変わってないんだね、リョーマ。
「凄いコントロールだねー、越前君。」
 …の機嫌が良くなってる…先輩らしき人達のあの驚く顔を見たらスッキリしたのかな。
 は、正義感強いからね。
「でも、アレくらいなら私達でもできるわよね。」
 の言ってることは間違ってはいないよ。僕達3人の力なら、あの程度の的に当てるのは容易い…。
「俺、この部に入らなくて正解だったっぽいね。」
 が頭の後ろで手を組んでつまらなさそうに言った。
「あら、私はむしろ入ってよかったと思うわよ?ああいう人達を黙らせてあげるわ。」
 流石、口に出したことは間違いなく実行するだろうから…彼らには間違いなく制裁がくだるよ。
 リョーマの方を見ていたら、ガボッという大きな音が聞こえて視線を向けた。
 石の入っていた缶が曲がっていて、中の石が飛び出ている。
「お〜っ当たっちゃったよ ラッキー」
 …陽気そうな声がした。
「かよわい新入生をカモっちゃー いけねーなあ いけねーよ」
 …言ってることは正論だね。どうやら、彼もテニス部員のようだけど…そこにいる2人よりは良さそうな人だね。
「よう 誰が帰っていいと言ったよ…」
 …もしかして、彼はリョーマと試合をする気なんだろうか…
「リョ リョーマ君!?」
 髪の長い女の子が声を上げた。
 彼女は確か…竜崎先生のお孫さんだったと思うけど…リョーマと知り合いなのかな?
「…成る程…お前が例の「越前リョーマ」か」
 もしかして、リョーマは日本でも有名なのかな。
 南次郎さんは日本で有名だから、彼のことを知ってる人もいるのかもしれないね。
「出る杭は早めに打っとかねぇとな」
 …言っていることは御もっともですけど…彼がリョーマを倒すのは無理だろうね。
 …少なくとも、片足を怪我している状態では、リョーマには勝てないよ…。
「桃城 武 2年だ!!」
 …まぁ、頑張ってください。桃城先輩…














…気がついてみれば、ヒロインがまるで不二のよう…そんなつもりはなかったのに…あぁ、なかなか話が進まない…(泣)