…入学して間もないけど…何とか学校生活にも慣れてきたかな。
まだ行っていない教室もいくつかあるけど、地図を覚えているから問題はないと思うし。
問題は、僕よりもだよ…。…どこに行ったのかな?
「越前君、次移動だから起きた方が良いと思うよー。」
この前の試合を見てから、はリョーマが気に入ったらしい。次の教科は音楽。
僕は得意分野なんだけど、はそうでもないみたいなんだ。
リョーマは声をかけられても半分寝ているみたい。
「越前君、遅刻してしまうよ?」
特に意識して言ってはいないんだけど、リョーマは僕の方を見た。…僕は何もしてないよね?
「…あぁ、もうそんな時間?」
…何だか僕に何か言いたそうだったけど…気のせいみたいだね。
僕達4人は、音楽室に行くため、教室を出た。…あ、リョーマの制服に髪の毛が付いてる…
「越前君、制服に髪の毛付いてるよ。」
僕はリョーマの返事も聞かずに手を伸ばした。リョーマの制服に付いた髪の毛をとって捨てた。
「サンキュ…。それから、リョーマでいいよ、呼び方。」
…リョーマがそんなこと言うとは思わなくて、少し驚いたんだ。
たぶん、このときの僕は、凄く変な表情だったと思う。
「どういたしまして、リョーマ。」
…何だか懐かしいね。名前を呼ぶと、まるであの時のことの様だよ。
リョーマに返事したときの僕の表情は穏やかなものだったと思う。とは、2人で何か話していたけど…。
音楽室に行くのに3年生の廊下を通る必要があったんだ。でも、気がついたら、がいなくて…
「どうするの?チャイム鳴っちゃうわよ?」
…うーん…の言うことは尤も何だけどね。だからと言って放っておくのも何だか気が引けるんだ。
でも、僕達も遅刻するわけには行かないし…
「俺達、先に行っといた方がいいんじゃない?」
「そうよ。アイツが遅刻してもアイツが悪いんだから。私達まで巻き込まれる必要ないじゃない。」
…それはそうなんだけど…の方向音痴は並大抵のものじゃないからね。
…でも、僕達も遅刻するわけにはいかないか…
「そうだね、行こうか…」
僕達はを探さないまま音楽室に向かった。
…まぁ、何とかなるだろう…


