…へぇ、面白い1年が入ってきたんだね。新しいマネージャーの子も入ってきたし。
 でも僕は…コートの外で入ってきた1年を見てる子が気になるんだけど?
 どうして女の子なのに学ラン着てるのかな?


 新しく入ってきたマネージャーの子はよく働いてくれてた。
 凄く気が利くし、慣れてないはずなのにスムーズに仕事こなしてるしね。
「どーした 相手してくんねぇの?期待の新人くんよ」
 荒井があの1年に絡んでる…。英二達は止めた方がいいようなこと言ってるけど、それじゃぁつまらないよ。
「……うーん」
 どうしようかな。何だか面白そうだしね。そう思ったら、マネージャーの子…ちゃんって言ったっけ?
 彼女が凄い表情で荒井達を睨んでたんだ。今にも殴りかかりそうなくらいにね。
 …女の子だから、殴りかかったりはしないだろうけど…

 ちゃんが1歩を踏み出すと、とっても澄んだ綺麗な声が聞こえた。
 僕だけじゃなくて英二達も皆、その声に惹かれたんだ。
 ちゃんも、怒った顔のままでふり向いてた。
「大丈夫だよ。弘法は筆を選びはしないから。がよく知っているはずだよ?」
 彼女は、凄く綺麗な笑みを浮かべていた。可愛いとか、美人とか、そんなレベルじゃない。
 凄く神秘的な笑みで、僕だけじゃなくて英二達まで見とれてた。
「…そうね。」
 アレだけ怒っていたちゃんの表情が柔らかいものに戻っていたんだ。
 それだけ、彼女の言葉には信憑性があるってことだね。
「それにー、越前君の実力なら勝てない相手じゃないだろー。それって筆以前の問題ジャン。」
 …彼は確か…昨日、手塚の名前を大声で叫んでた子だね。
 手塚と知り合いにしては普通な子だね。(←かなり失礼)
「ま、それもそうね。荒井って先輩のレベルも知れてるだろうし。」
 …いくら何でも先輩に対してそこまで口に出来るってことは…彼女達、かなりの実力者なんだろうね。
 竜崎先生がマネージャーにするくらいだしね。特に、学ラン着てる女の子は強そうだね。
 底が見えなさそうで、僕達の手の届かない所にいそう。
「先輩、面白そうだから見ておきません?」
 タオルを持ったままのちゃんが英二達に向かって言った。
 1年の方を見てみたら、やる気満々っぽいしね。クス、面白そう…
「もうちょっと見てみる事にした」
「そう言うと思った」
 英二が溜息ついてるけど、いいじゃない、面白そうだし。彼女の言ってたことも気になるしね。
 試合が始まって2球、打たれた球はまるで話にならない。
「まともに打ったってムダだろうな」
「そだね」
「うーん あんなガットじゃまずスピンはかからないよね」
 でも、あの1年、何か企んでるみたいだよ?
 とても強がりのようには見えないけどね…あ、打ち返したね。
「おー からだ全体回転させてスピンかけたよ」
「やるじゃん」
 へぇ…彼女の言ったとおりだね。あのラケットで打ち返せるなんて。
「えーっだってあの球…めちゃくちゃ速かったよな!!」
 ギャラリーもざわつき出したね。テニスコートの周りに人が集まりだしてきたよ。
「彼女の言ったとおり…弘法は筆を選ばずってやつ… かな」
「来るナ…あいつ」
「ああ…」
 他の皆も納得したみたい。まぁ確かに上手いね、あの1年。
 ちゃんも何だか嬉しそうな顔してる。多分、気味がいいんだろうね。
 荒井がさらし者にされてる事が…彼女、正義感強そうだしね。
、どー思う?」
 へぇ、あの女の子、って名前なんだ…。ちゃん…っていうより、さんって感じかな?
「実力に年は関係ないよ。リョーマはあの先輩より強かった。ただ、それだけの事だよ。別に凄い事じゃない。」
 …言うね。それくらいの実力を、彼女は持っているって事かな?
「凄い事とは俺も思ってないよ。ってかそれ以前にあの人弱すぎー。」
「私も思った。アレはやっぱり筆以前の問題だわ…。」
 彼女達から見れば、あれは凄いことじゃないんだね。
 彼女たちは、いったいどれくらい強いんだろう…一度、試合してみたいな。
「ねぇ、君たち。」
 どうせだから、名前とか聞いておこうかな。英二達も彼女たちに興味津々みたいだしね。
「テニスにかなり詳しいみたいだけど…。」
「それに、君は昨日手塚の名前叫んでたよねー?」
 …ちょっと英二、押さないでよ。乾もノート取る必要はないんじゃない?
「俺ら3人、テニスが好きなんですよー。あ、俺は国光とは知り合いなだけでーす。」
「へー、手塚の知り合いにしてなんかふつーだねー。」
 …英二…僕と同じこと考えてたんだね…。
「あはは、先輩、それ国光に聞かれたら怒られますよー。」
「むしろ、手塚先輩があぁなったのってあんたが陽気過ぎるからじゃないの?」
 …ちゃん、さり気に毒舌だね。
「そんな事ないよー。国光は昔から俺に会った時からすでにあんなんだったもん!」
「ほぅ…」
 …乾、それってメモるようなことなの?
「君も…テニスするの?」
「え…?」
 僕は彼女に声をかけてみた。彼女は、自分に振られるとは思ってなかったんだろうね。
 少し驚いたような顔をしてた。
「今はしてません。見ている方が好きなんですよ。」
 ……今は……ね。それにしてもよく透る声だね。
 体も凄く細くて、色も白くて、とてもスポーツをしているようには見えないね。
 そして…どこか作ったような笑み…他の2人の方を見ると、何だか悲しそうな顔をしてる。
 何かあるの?
「それより、先輩方いいんですか?国光来ましたよ?」
「「「げッ!?」」」

 この後、全員がグラウンドを走らされた。
 走らされたけど、それよりもっと面白いものを見つけたから、機嫌は悪くなかったよ。
 あの1年生と…それから、あの3人と…特に…さんは…ね。














不二に目を付けられたヒロイン(笑)やっと本編にも入って夢らしく(?)なった気がします…。
(気だけじゃないことを祈ります…)