・・・ここまで大事になるとは、本人も思ってなかったんだろう。
先に気付いたのが越前リョーマとはな・・・。
偶然か、それとも・・・。
結局、越前が杏に直接聞いて他の人にも知られる結果となった。
神尾はまるで杏は間違っていないという感じで杏を慰める。
しかし、はそう簡単には許す気にはなれなかった。
「随分と、身勝手なことだな。今のお前には切原のことをどうこう言う資格はないぞ。」
今までにはなかった声に全員がそちらを向いた。
そこには少し怒ったような、呆れたような表情のがいた。
「自分の兄に怪我をさせたから相手にも怪我をさせる・・・。それこそ、お前はお前の兄を怪我させた切原と何も変わらない。」
「アンタに何が分かるって言うんだよ!!!」
の冷めた言葉に神尾は食って掛かった。
それでもは何もなかったかのように平然と答えを返す。
「分かるわけがない。分かろうとも思わないな。選手に怪我をさせ、竜崎班の集団を乱したあげく、反省の色もほとんど見られない相手の事をどう分かれと言うんだ。」
の言うことは誰もが正論だと思えた。だから杏も神尾も反論できなくなった。
その場に沈黙が流れた後、宍戸と鳳が越前と切原の試合の事を知らせに来た。
全員がテニスコートにかけつけた後、試合は始まったばかりだった。
初めはギスギスしていた試合がだんだん明るいものへと変わっていく。
切原は越前の膝は狙わなかった。目も赤くなってはいない。
「アレ?膝、狙わないんだ?」
「膝を狙わなくても、俺はお前に勝てるぜ。」
切原は不機嫌そうに言ったが、周りから見ても今までと違うことは歴然だった。
周り、とくに杏と神尾は信じられないと言った目で切原を見ている。
その中で、は小さく笑みを浮かべていた。
「・・・相変わらず、不器用なヤツだ・・・。」
越前と切原の試合は本当に楽しそうだった。
「私、切原君にちゃんと謝らなきゃ・・・。」
「・・・そうだな。」
二人のやり取りを聞いていたは、二人に近づいた。
「橘。」
「あ、さん。・・・あの、私・・・」
杏が何か言いたそうにしているのを見て、一瞬笑みを浮かべた。
「悪かった。」
「え・・・。」
先に謝罪の言葉を言ったのはだった。
杏は驚いて、勢いよく顔を上げた。
「私も少し、言葉が過ぎた。橘の気持ちも分からなくはなかったが・・・。」
「いえッ!私が悪かったんです!私こそごめんなさい!!」
杏は慌てて頭を下げた。それをは止める。
「終わった事を言っても仕方がない。まぁ、これで何の問題もなく練習ができ・・・・・・」
「竜崎先生!!!」
「ばあさん!!!!!」
が言いかけたところで大石と桃城の叫ぶ声が聞こえた。
周りの人も慌てて駆け寄っていく。
その中で、はその場から動かず、黙って携帯電話を取り出した。
周りが慌てている中で、一人落ち着いて救急車を呼んだ。
「一難去ってまた一難・・・か・・・・・・。」
がポツリと呟いた声は誰にも聞こえなかった。



ビデオが紛失しているのでセリフが違うかも・・・。