入学式なんて面倒で出てられないわ。
 こんな天気のいい日に硬いイスに座ってるなんて真っ平ごめんよ。
 お尻が痛くなっちゃうじゃない。
 こんな日はやっぱり、裏庭で昼寝でしょ!


 私たちはいつものメンツで裏庭にいた。
 私とは完全に芝生に寝転がって、は上半身だけ起こして座ってる。
 には学ランを着させてるの。
 だって、あんなにかっこいいのよ?
 それにめちゃめちゃ綺麗で、顔は整ってるし、髪はサラサラだし。
 同性だって分かっても惚れちゃうかもしれないくらいなのよ?
 腕も足も細くてめちゃめちゃ綺麗なんだもの。
 の美脚は誰にも見せないわ!
 セーラー服なんての美脚が丸見えだからダメなのよ。
 それには絶対にセーラー服より学ランが似合うわ。
 学ランのおかげで白い肌が目立つし、さらにかっこよくなるもの!
 誰にも文句は言わせないわ!
 女子テニス部にだって入部させはしないわ!
 そりゃ、がまたテニスを始めてくれるのは大賛成だけど…
 は絶対にテニスをやるなんて言わないでしょうけど、万が一、あっても女子テニス部にだけはぜーったい入部させない。
 スコートなんて履いたら美脚が見えちゃうじゃない!
 男子テニス部はそれはそれで危険だわ。
 は私が護るのよ!

「そろそろ入学式が終わるかな。」
「そーだなぁ。そろそろ教室に行く?」
 が勢いよく上半身を起こすと、私の向かって言った。
「そうね。流石にHRに遅刻は勘弁だわ。」
 私はゆっくりと上半身を起こして、ん〜…腕を組んで上に伸ばす。
 立ち上がろうとすると、が手を差し伸べてくれた。
 こういうところが優しくてかっこいいのよねー。
 私だから良いけど他の子だったら絶対に惚れちゃうわよ?
 私だって惚れそうだもの。
 私はの手を取って立ち上がった。
 スカートについた汚れはパンパンと叩いて払った。
 も軽々とジャンプ気味に立ち上がった。
「行くか。」
「そうだね。」
 風が吹いて、の髪を揺らす。
 …やっぱりかっこいいわ…
 学校生活が楽しみね。
 私たちは、桜の花びらが舞う道を歩いて教室に向かった。