おのみち映画資料館特別展
尾道ゆかりの童話作家・横山美智子原作
『緑の地平線』写真展

ストーリーとか

緑の地平線(前編・後編)

製作=日活(多摩川撮影所)1935.10

原作:横山美智子

脚色:荒牧芳郎

監督:阿部 豊

撮影:碧川道夫

装置:堀 保治

録音:沖村元子郎

配役    

瀬尾雄三     岡 譲二 

岡見良樹     中田弘二 

吉井高一郎    高木永二 

磯田鉄哉     小杉 勇 

仁 吉      星ひかる 

保科行雄     伊沢一郎 

橋場庄吉     杉 狂児 

ドスの透     見明凡太郎 

深沢奈津子    星 玲子 

未亡人逸子    西條エリ子 

吉井夫人登喜子  相良愛子 

吉井早苗     黒田記代 

磯田純子     村田知栄子 

保科克子     沢村貞子 

マダムみや子   紅沢葉子 

ゆかり      原 節子 


キネマ旬報 553号(1935,9,21

【解説】

「海國大日本」に継ぐ阿部豊監督のオールトーキーで、原作は東西朝日新聞が一万圓の賞を懸けて募集した小説である。水久保澄子病気のため中途にして星玲子が代わって奈津子の役をつとめ、星玲子の役たりし純子には村田知栄子が補充された。

【略筋】

岡見良樹は磯田鉄哉の妹純子との間に子どもまである仲であったが今は振り向こうともしないで濃艶な未亡人逸子との火遊び的恋愛を享受する傍らダンサー奈津子の歓心を買うべくつとめていた。その上岡見には大実業家吉井高一郎の愛娘早苗と云う許婚があった。父高一郎が岡見を厚く信用していることが早苗にとっては不思議でならなかった。ダンサー奈津子には瀬尾雄三と云う許婚があったのだが幾年か後の楽しい結婚を夢見乍ら大学を了えて海外へ留学するや、雄三の父は一夜酒の力を借りて奈津子の貞操を奪ってしまった。世の中の醜い半面をまざまざと見せつけられた奈津子は男性の敵となって闘うべく家出し流浪の末、ダンサーとなったのであった。そうした過去を持つ奈津子は巧に岡見の愛欲の炎をかり立てたのであった。海外で奈津子家出の報を知るや、雄三は早々帰朝した。一方、早苗も益々岡見の行動に幻滅を感じ、父に婚約解消を迫るのであったが父は応じようともしないで意を決し家出をした。岡見に捨てられた純子は兄鉄哉と兄の友達仁吉にいさめられ子供のために雄々しく街頭に出て働く。一方奈津子に夢中になって自分を省みようとしない岡見を逸子は執拗に追いかける。こうしていつ果つるとも見えぬこれ等の人々の争闘の上にも愈々神の裁断が下される日が近づいた。愛欲の悪魔と化した未亡人逸子は岡見と奈津子を射殺し汚れた自分の半生をも清算した。死の床で飜然と昔の純情な気持に立ちかえって偶然の機会から結ばれた雄三と早苗の清純な恋を成就させるのであった。ほのぼのとして緑の地平線に美しい太陽が上って行く。清く、高く、つつましやかに、人の心にも太陽の光が満ちあふれるのであった。