医 師 法
医師法
昭和23年7月30日
法律第201号
最終改定昭和57年法律第69号
第1章 総則
第1条【医師の職分】
医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。
第2章 免許
第2条【医師の免許】
医師になろうとする者は、医師国家試験に合格し、厚生大臣の免許を受けなければならない。
第3条【絶対的欠格事由】
未成年者、禁治産者、準禁治産者、目が見えない者、耳が聞こえない者又は口がきけない者には、免許を与えない。
第4条【相対的欠格事由】
左の各号の1に該当する者には、免許を与えないことがある。
1 精神病者又は麻薬、大麻若しくはあへんの中毒者
2 罰金以上の刑に処せられた者
3 前号に該当する者を除く外、医師に関し犯罪又は不正の行為のあつた者
第5条【医籍】
厚生省に医籍を備え、医師免許に関する事項を登録する。
第6条【免許の賦与、医師免許証、医師の届出義務】
(1)免許は、医籍に登録することによつて、これをなす。
(2)厚生大臣は、免許を与えたときは、医師免許証を交付する。
(3)医師は、省令で定める2年ごとの年の12月31日現在における氏名、住所(医業に従事する者については、更にその場所)その他省令で定める事項を、当該年の翌年1月15日までに、その住所地の都道府県知事を経由して厚生大臣に届け出なければならない。
第7条【免許取消し、医業停止、再免許】
(1)医師が、第3条に該当するときは、厚生大臣は、その免許を取り消す。
(2)医師が第4条各号の1に該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生大臣は、その免許を取り消し、又は期間を定めて医業の停止を命ずることができる。
(3)前項の規定による取消処分を受けた者であつても、疾病がなおり、又は改しゆんの情が顕著であるときは、再免許を与えることができる。この場合においては、 第6条第1項及び第2項の規定を準用する。
(4)厚生大臣は、前3項に規定する処分をなすに当つては、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。
(5)第1項又は第2項に規定する処分がなされるに当つては、当該処分を受ける者に、厚生大臣又は都道府県知事の指定した官吏若しくは吏員又は医道審議会の委員に対して弁明する機会が与えられなければならない。この場合においては、厚生大臣又は都道府県知事は、当該処分を受ける者に対し、あらかじめ、書面を以て、弁明をなすべき日時、場所及び当該処分をなすべき事由を通知しなければならない。
(6)前項の通知を受けた者は、代理人を出頭させ、且つ、自己に有利な証拠を提出することができる。
(7)弁明の聴取をした者は、聴取書を作り、これを保存するとともに、報告書を作製し、且つ、処分の決定について厚生大臣に意見を述べなければならない。
第8条【政令への委任】
この章に規定するものの外、免許の申請、医籍の登録、訂正及び抹消、免許証の交付、書換交付、再交付、返納及び提出並びに住所の届出に関しては、政令でこれを定める。
第3章 試験
第9条【医師国家試験の内容】
医師国家試験は、臨床上必要な医学及び公衆衛生に関して、医師として具有すべき知識及び技能について、これを行う。
第10条【試験の施行】
医師国家試験及び医師国家試験予備試験は、毎年少くとも1回、厚生大臣が、これを行う。
第11条【受験資格】
医師国家試験は、左の各号の1に該当する者でなければ、これを受けることができない。
1 学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学(以下単に「大学」という。)において、医学の正規の課程を修めて卒業した者
2 医師国家試験予備試験に合格した者で、合格した後1年以上の診療及び公衆衛生に関する実地修練を経たもの
3 外国の医学校を卒業し、又は外国で医師免許を得た者で、厚生大臣が前2号に揚げる者と同等以上の学力及び技能を有し、且つ、適当と認定したもの
第12条【同前―予備試験】
医師国家試験予備試験は、外国の医学校を卒業し、又は外国で医師免許を得た者のうち、 前条第3号に該当しない者であつて、厚生大臣が適当と認定したものでなければ、これを受けることができない。
第13条【同前―絶対的欠格事由】
禁治産者、目が見えない者、耳が聞こえない者及び口がきけない者は、医師国家試験及び医師国家試験予備試験を受けることができない。
第14条【同前―相対的欠格事由】
左に揚げる者については、医師国家試験及び医師国家試験予備試験を受けさせないことがある。
1 準禁治産者
2 第4条各号の1に該当する者
第15条【不正行為関係者に対する処分】
医師国家試験又は医師国家試験予備試験に関して不正の行為があつた場合には、当該不正行為に関係のある者について、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。この場合においては、なお、その者について、期間を定めて試験を受けることを許さないことができる。
第16条【省令への委任】
この章に規定するものの外、試験の科目、受験手続その他試験に関して必要な事項及び実地修練に関して必要な事項は、省令でこれを定める。
第3章の2 臨床研修
第16条の2【臨床研修―期間、研修施設】
(1)医師は、免許を受けた後も、2年以上大学の医学部若しくは大学附置の研究所の附属施設である病院又は厚生大臣の指定する病院において、臨床研修を行うように努めるものとする。
(2)厚生大臣は、前項の指定をしようとするときは、あらかじめ、医療関係者審議会の意見を聴かなければならない。
(3)第1項の規定の適用については、外国の病院で、厚生大臣が適当と認めたものは、同項の厚生大臣の指定する病院とみなす。
第16条の3【同前―厚生大臣への報告】
(1)前条第1項に規定する病院の長は、当該病院において同条同項の規定による臨床研修を行なつた者があるときは、当該臨床研修を行なつた旨を厚生大臣に報告するものとする。
(2)前条第3項の規定により同条第1項の厚生大臣の指定する病院とみなされた病院において同条同項の規定による臨床研修を行なつた者は、当該臨床研修を行なつた旨を厚生大臣に報告するものとする。
第16条の4【同前―省令への委任】
この章に規定するもののほか、第16条の2第1項の指定並びに前条第1項及び第2項の報告に関して必要な事項は、省令で定める。
第4章 業務
第17条【非医師の医業禁止】
医師でなければ、医業をなしてはならない。
第18条【非医師の医師名称使用禁止】
医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
第19条【診療義務等】
(1)診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
(2)診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。
第20条【無診察治療等の禁止】
医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。
第21条【異状死体等の届出義務】
医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、 24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。
第22条【処方せんの交付】
医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又は現にその看護に当つている者に対して処方せんを交付しなければならない。ただし、患者又は現にその看護に当たつている者が処方せんの交付を必要としない旨を申し出た場合及び次の各号の1に該当する場合においては、この限りでない。
1 暗示的効果を期待する場合において、処方せんを交付することがその目的の達成を妨げるおそれがある場合
2 処方せんを交付することが診療又は疾病の予後について患者に不安を与え、その疾病の治療を困難にするおそれがある場合
3 病状の短時間ごとの変化に即応して薬剤を投与する場合
4 診断又は治療方法の決定していない場合
5 治療上必要な応急の措置として薬剤を投与する場合
6 安静を要する患者以外に薬剤の交付を受けることができる者がいない場合
7 覚せい剤を投与する場合
8 薬剤師が乗り組んでいない船舶内において薬剤を投与する場合
第23条【療養方法等の指導義務】
医師は、診療をしたときは、本人又はその保護者に対し、療養の方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければならない。
第24条【診療録】
(1)医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
(2)前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、5年間これを保存しなければならない。
第24条の2【医師に対する医療等に関する指示】
(1)厚生大臣は、公衆衛生上重大な危害を生ずる虞がある場合において、その危害を防止するため特に必要があると認めるときは、医師に対して、医療又は保健指導に関し必要な指示をすることができる。
(2)厚生大臣は、前項の規定による指示をするに当つては、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。
第5章 審議会及び医師試験委員
第25条【医道審議会】
厚生大臣の諮問に応じて第7条若しくは歯科医師法(昭和23年法律第202号)第7条に規定する処分または医道の向上に関する重要事項を調査審議させるために、厚生大臣の監督に属する医道審議会を置く。
第26条 削除
第27条【医師試験委員】
(1)医師国家試験及び医師国家試験予備試験に関する事務をつかさどらせるため、厚生省に医師試験委員を置く。
(2)医師試験委員に関し必要な事項は、政令で定める。
第28条及び第29条 削除
第30条【不正行為の禁止】
医師試験委員その他医師国家試験又は医師国家試験予備試験に関する事務をつかさどる者は、その事務の施行に当たつて厳正を保持し、不正の行為のないようにしなければならない。
第6章 罰則
第31条【罰則】
(1)左の各号の1に該当する者は、これを2年以下の懲役又は2万円以下の罰金に処する。
1 第17条の規定に違反した者
2 虚偽又は不正の事実に基いて医師免許を受けた者
(2)前項第1号の罪を犯した者が、医師又はこれに類似した名称を用いたものであるときは、これを3年以下の懲役又は3万円以下の罰金に処する。
第32条【同前】
左の各号の1に該当する者は、これを1年以下の懲役又は1万円以下の罰金に処する。
1 第7条2項の規定による停止命令に違反した者
2 第30条の規定に違反して故意若しくは重大な過失により事前に試験問題を漏らし、又は故意に不正の採点をした者
第33条【同前】
第6条第3項、第18条、第20条から第22条まで又は第24条の規定に違反した者はこれを5千円以下の罰金に処する。
附則
第34条
この法律施行の期日は、公布の日から起算して90日を超えない期間内において、政令でこれを定める(昭和23・10・27施行―昭和23政325)。
第35条
国民医療法(昭和17年法律第70号、以下旧法という。)は、これを廃止する。
第36条
(1)旧法又は医師法(明治39年法律第47号、以下旧医師法という。)によつて医師免許を受けた者は、これをこの法律によつて医師免許を受けた者とみなす。旧医師法施行前に医術開業免状を得た者についても同様である。
(2)旧医師法施行前医術仮開業免状を得た者の医業については、なお従前の例による。
(3)昭和20年8月15日以前に、朝鮮総督、台湾総督、樺太庁長官、南洋庁長官若しくは満州国駐さつ特命全権大使又は満州国の医師免許を受けた日本国民に対する医師免許及び試験については、この法律施行の日から5年間は、なお従前の例によることができる。
(4)前項に規定する者の外、昭和20年8月15日以前に、外国でその地の法令によつて医師免許若しくは医業免許を受け、又は中華民国(満州及び蒙彊を含む。)において領事官の医業免許を受けた日本国民に対する医師免許及び試験については、昭和30年12月31日まで、前項の例によることができる。
第37条
旧法又は旧医師法による医籍の登録は、これをこの法律による医籍の登録とみなす。
第38条
旧法又は旧医師法によつてした医師免許の取消処分又は医業停止の処分は、それぞれこれをこの法律の相当規定によつてしたものとみなす。この場合において、停止の期間は、なお従前の例による。
第39条
旧法の規定によつて作成された医師の診療録は、これを第24条の診療録とみなす。
第40条
旧法若しくは旧医師法又はこれに基いて発する命令又は右の命令に基いてなした処分に違反した者の処罰については、なお旧法又は旧医師法による。
第41条
国民医療法施行令の1部を改正する勅令(昭和21年勅令第402号)附則第2項の規定に該当する者は、 第2条の規定にかかわらず、医師免許を受けることができる。
第42条
国民医療法施行令の1部を改正する勅令(昭和22年勅令第137号)附則第2項の規定に該当する者は、 第11条の規定にかかわらず、医師国家試験を受けることができる。
第43条
学校教育法(昭和22年法律第26号)第98条の規定により大学令(大正7年勅令第388号)による大学又は専門学校令(明治36年勅令第61号)による専門学校として、その存続を認められた大学又は専門学校は、第11条第1号の大学とみなす。
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