夏の終わりの臍疝痛

日本鍼灸マッサージ新聞 02.10.10.

 鍼師の堀口隆先生に『はり治療室の窓から』を毎月連載していただいている。この5月号は「子供の腹痛」と題して臍疝痛がテーマだった。少し長くなるが抜粋して紹介する。
 『臍疝痛とは幼稚園児から小、中学生に見られる一種の腹痛です。一つ例を挙げてみましょう。中学1年の男の子、兄が一人いて、小さい時から勝ち気で神経質、小学生のころにはまぶたや頬がぴくぴく痙攣するチック病で、小児はりに何度か来たことがありました。この子が私立の中学に入り、電車を乗り換えバスに乗り継いで通学することになりました。学習量が増えて遊ぶ時間が減りました。学校では先生も生徒も見知らぬ顔ばかりです。新学年が始まってまもなく、朝や夕方帰宅後に腹痛を訴えるようになりました。早速かかりつけの医師に診てもらったり、大きな病院へも行きましたが、医学的には特に治療を要するほどのことはないといわれ、積極的な処置も指示もありませんでした。何とか1学期を終え、夏休みは機嫌よく過ごしましたが、2学期が始まるとまた腹痛を訴えだし、時には吐き気、嘔吐、下痢を伴うようになり、はりのことを思い出して治療に来たというのです。以上のような話を母親から聞き、本人に痛み具合などを聞いて、臍疝痛のややひどいものと判断しました。つまり、生活の変化に最も心もついていけないための腹痛とみたのです。はりはお腹を中心に、首、肩、背中へも気楽に雑談しながら行いました。継続治療はせず痛みが起こったときだけとし、軽ければ1日、ひどい場合は2、3日続けて治療しました。その結果、中1の3学期に入ってからは腹痛も起こらなくなり、現在元気な高校生になつています。』
 9月中旬、横浜市に住む女性から電話をもらった。小学生の女の子がいるが、この夏から不明の腹痛を訴えていて、病院では異常なしと診断され、医師に治療の施しようがないと言われたらしい。それでも入院をさせられ、2学期が始まっても学校にいけない状態で途方に暮れていたとき。偶然に堀口先生の「臍疝痛」を読み、症状が似ているので鍼治療を受けたいという相談だった。そこで、横浜で女性鍼灸師フォーラムを主催している辻内先生に事情を話したところ、快く治療を引き受けていただいた。
 それから約半月後、女の子の母親から電話があり、鍼治療のおかげですっかり快復し、元気に学校へ通い始め、この週末にある運動会を親子で楽しみにしているという。鍼の効果に驚き、辻内先生への感謝の言葉を述べていた。横浜に鍼のフアンが2人増えたという、夏の終わりの出来事だった。



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