紙上レポート:
東洋医学とペインクリニック研究会より


『帯状疱疹後神経痛(前額部痛)に対する
 直線偏光近赤外線照射の一臨床経験』

大阪医科大学麻酔科ペインクリニック
河内明、亀井陽子、久下浩史、平井清子、松尾征男、稲森耕平、森秀麿
明治鍼灸大学東洋医学教室・北出利勝

 日本鍼灸マッサージ新聞 01.10.10.  

【緒言】
 帯状疱疹後神経痛(以下、PHN)に対する治療方法としてわれわれは、点滴注射、交感神経ブロック療法などの疼痛管理を行っている。今回われわれは、患者の希望に応じ非侵襲で安全な直線偏光近赤外線治療器を用いてPHNの一症例につき報告する。
【症例】
 70歳、女性、主婦。初診は平成7年10月。
 主訴:前額痛。
 現病歴:9月21日から左側前額部・前頭部にかけて水泡形成が出現し、本学皮膚科にて帯状疱疹との診断を受け、点滴注射と鎮痛薬を服用していた。その後に水泡がつぶれ、特に前額部にキリでつかれているような痛みを訴えつづけ、10月に本麻酔科を訪れた。
 現症:身長146cm、体重39kg、血圧114/66mmHg、脈拍70/min、疼痛部位は三叉神経第1枝領域で不眠症になるほどの顔面痛・頭痛を訴え、癜痕有り。 既往歴・家族歴:特になし。
 治療及び経過:初診時より数回にわたって星状神経節ブロックを行い、その後直線偏光近赤外線(生体深達性の高い波長帯の光、0.6〜1.6μmを最高出力1800mWをスポット状で照射、東京医研製)を水突穴(星状神経節近傍)ならびに療痕部位に、SGプローブを用い、出力100%、7秒間照射3秒休止のサイクルを20分間行った。治療回数は118回行い、照射ごとにVAS法(最も苦痛を10点満点)によるペイン・スコア(以下、PS)と自覚症状を記録した。治療回数を重ねるごとに症状の軽減がみられPS2点となった。また、この治療法の有用性につき治療前後における微少循環組織血流量とサーモグラフィの観察を行ったのであわせて報告する。
【考察および総括】
 麻酔科においてPHNに対する治療方法としては、主として交感神経ブロック療法などが用いられるが、この症例につき直線偏光近赤外線を水突穴へ照射することにより良好な成績を得た。これは、照射された光刺激が熱エネルギーに転換され、末梢循環の改善および鎮痛効果が得られたと考える。
【キーワード】
 帯状疱疹後神経痛、直線偏光近赤外線、鎮痛効果

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