紙上レポート:
現代医療鍼灸臨床研究会より


頚椎症に肩関節周囲炎の合併した2症例
―肩関節周囲炎に対する鍼治療―

東京大学医学部付属病院アレルギー・リウマチ内科
美根大介、小糸康治、粕谷大智、杉田正道、山本一彦

 日本鍼灸マッサージ新聞 01.9.10.  

  キーワード 肩関節周囲炎、低周波鍼通電療法、頚椎症

【はじめに】
 我々は肩関節周囲炎には多くの病態が含まれているため、臨床においては病期の判断と病態鑑別が重要であると報告してきた。今回、頚椎症の治療経過中に肩関節周囲炎による症状を発症した症例を経験したので報告する。
【症例】
1.61歳男性。
[主 訴]左頚肩部の痛み。
[現病歴]平成11年7月より左頚の痛みが出現、更に左上肢挙上不能となる。当院整形外科を受診、頚椎症性神経根症と診断され鍼治療を開始。
[初診時現症]ジャクソン・スパーリングテスト陽性、上腕二頭筋腱反射減弱、三角筋・上腕二頭筋萎縮。
2.45歳女性。
[主 訴]上肢の痺れ。
[現病歴]平成11年冬より左肘から手関節にかけて痺れを自覚、当院整形外科にて頚椎椎間板ヘルニアと診断される。保存療法にて軽快せず鍼治療を希望。
[初診時現症]ジャクソン・スパーリングテスト陽性、左上腕・前腕外側知覚低下。
【治療及び経過】
 以上の所見により2症例ともC5神経根障害と判断し鍼治療を開始した。症状は徐々に改善しつつあったが、経過中に初診時にはなかった肩関節の痛みが出現。症例1はインピンジメントサイン・スピードテスト陽性、症例2はペインフルアーク・インピンジメントサイン陽性等により肩関節周囲炎と考え治療を追加した。
 治療は主に棘上筋・棘下筋の低周波鍼通電療法を1Hz、15分間の刺激で行った。症例1は6ヵ月後にペインスコアが10→2、症例2は2ヵ月後に10→1へと改善した。神経根障害についても症状はほぼ消失した。
【考察】
 今回の2症例はともにC5神経根障害であり、経過中に肩関節周囲炎を発症したことから神経根障害により肩関節運動に異常をきたし発症に至った可能性も考えられる。また、今回鍼治療により良好な結果が得られたのは詳細に所見をとり病態に応じた治療を行った結果と考える。

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