『ストレス負荷時の鍼刺激によるストレス低減効果』
〜長野式の「自律神経調整処置」と「横X字型椎間刺鍼」との比較〜
日本鍼灸マッサージ新聞 018.10.
【目的】
長野式鍼治療には、交感神経過緊張による頻脈を落ちつかせる目的で、「自律神経調整処置」の鍼治療がある。また、骨格筋や臓器への血流改善が目的の「横X字型椎間刺鍼」方法がある。これまでに、実際のデータに基づいた報告はされていない。本研究では、ストレス負荷後「自律神経調整処置」と「横X字型椎間刺鍼」の鍼刺激条件で、心拍数にどのような変化があらわれるかを比較検討した。
【方法】
対象は、K大学生16名(男性5名、女性11名)、平均年齢は22.5±3.0歳であった。定量のストレスを負荷するために、まずStroop's color conflict word test(認知的葛藤をもたらす言語刺激)を行った。配穴は自律神経調整処置群は両「復溜」・両「兪府」・右「尺沢」、横X字型椎間刺鍼群は「T4」両側・「T7」両側・「腰陽関」の5部位とした。両群とも同一被験者で、クロスオーバー法を行った。使用鍼は、両群とも、40mm×18号ステンレス鍼で、深さは1cm前後、呼気刺入し、15分間置鍼後、吸気抜鍼した。
15分間安静の後、カラーテスト直後、刺鍼前、刺鍼直後、置鍼中、抜鍼後、10分後、20分後の合計8回、心拍数を左上腕部で測定した。測定結果の実験開始時の心拍数を()beats/minとした。両群の平均心拍数の変化を、経時的に観察した。鍼治療効果をみるため、刺鍼前から抜鍼後までの4時点で、二元配置の分散分析を行った。
【結果】
観察の結果、カラーテスト直後に両群とも心拍数が増加し、刺鍼前と刺鍼直後では、自律神経調整処置群の方が、横V字型椎間刺鍼群より心拍数の減少が顕著だった。個人差によるばらつきは大きかったが、分散分析の結果(F(1,15)=16.79,P<0.01)、両鍼治療間の心拍数減少に有意差が認められた。
【考察】
「自律神経調整処置」の鍼治療は、「横V字型椎間刺鍼」よりも、ストレス低減効果が高いと考えられる。また、無刺激群との比較でも、心拍数減少を有意に促進した(p<0.05)。本研究から、「自律神経調整処置」の鍼治療は、ストレス過剰による機能的な頻脈を落ちつかせる作用のあることが示唆された。
【キーワード】
ストレス.長野式鍼治療、自律神経調整処置