精神神経系疾患にアプローチ
うつ状態には本治法と奇経が基本
東洋医学とペインクリニック研究会
日本鍼灸マッサージ新聞 0112.10.
複雑・多様化する現代社会の精神疾患
肝・心・腎が神志に与える影響
ますます複雑・多様化する現代社会。日本国内で約200万人以上が神経症、心身症などの精神神経系疾疾患をもつという。国民の注目が心身一如の東洋医学に集まる中、鍼灸師にもこれらの疾患に関する一定の理解が求められる。11月25日、東洋医学とペインクリニック研究会が『精神科領域における東洋医学』をテーマに第6回教育セミナーを開催した。
森ノ宮医療学園専門学校(大阪市東成区)で開かれた教育セミナーでは、精神神経科領域に対する東洋医学的アプローチについて講演が行われた。
『精神神経系疾患と鍼灸治療』で坂本豊次氏(森ノ宮医療学園講師)は、精神疾患を外因性・内因性・心因性、さらに躁うつ病・精神分裂病・心身症などに分類し、その概念と鍼灸治療を解説した。うつ状態には脾虚・肺虚が多く本治法と奇経が基本、督脈の反応が大切で百会を中心に皮膚鍼を施す、また、精神分裂病では薬物治療がメインとなり、鍼灸はあくまで補助的であると述べた。
王財源氏(関西鍼灸短期大学講師)の『うつ病に対する中医学的考え方とその治療』では、神経疾患を中医学では「肝・心・腎が神志に与える影響と捉えると説明。四診、特に脈診、舌診による所見が重要で、黄帝内経に記される微鍼療法が治療法として挙げられた。微鍼療法は鍼柄が長く鍼体は短い鍼で浅く刺入する、皮内針の前身とされる療法。王氏け「微鍼療法は脳疾患に効果がある」としている。
また、心理学の立場から臨床心理士の神澤創氏(関西幅祉科学大学助教授)が『患者の心理』と題して講演。「多くの患者と同時並行こて対応しなければならないクリニックや施設では、相互的であるべき患者との関係が一方的なコミュニケーションになりがちである」と指摘し、コミュニケーシコンのコツとして「患者の使った言葉や表現を大切にすること」などアドバイスした。
この他、阪本惠子氏(光鍼灸院)から不眠、躁うつ病に対する漢方治療の症例報告が行われた。
超高齢化が進み、精神不和、神経症、老年期うつ病また、高齢者に限らず若年層や主婦、サラリーマンたちからもストレスによる同様の訴えが増えており、この分野における東洋医学への期待は今後さらに大きく
なるだろう。