休んでばかりのおスモウさん       

日本鍼灸マッサージ新聞 02.08.10.. 

休んでばかりのおスモウさん
 朝早くから「ミンミン」「シャンシャン」と蝉たちの大合唱で、いやでも早起きしてしまう。寝不足と暑さによる食欲不振で夏場は毎年体重が落ちる。その一方で、わが家人は夏場も元気で、生まれてこのかた夏痩せしたことがないのが自慢だそうだ。その家人が最近凝っているのが、ビール酵母の粉末をカスピ海のヨーグルトにまぶして食べること。割と晩はこれだけを食べてダイエットするといっているのだが、一向に痩せる気配がない。きっと昼食にはビール酵母とカスピ海ヨーグルト以上のご馳走を食べているに違いない。
 家人が痩せないのは仕方がないとして、もっと体重を落とした方がいい人たちがいる。大相撲名古屋場所は16人の十両以上の力士が休場するという惨惰たる場所で、大相撲人気はますます凋落する一方だ。休場力士たちのケガは膝や足首に集中していて、その理由は太りすぎだといわれている。太れば太るほど褒められるのがおスモウさんだつたが、これからは痩せて褒められる時代になりそうだ。
 それにしても世間は根強いダイエットブームで、痩せたい願望のせいで中国製ダイエット食品による被害が拡大している。その一方で、日本人の平均寿命が男女ともさらに延びた。日本人の長寿の秘密として生活環境の改善や衛生教育、医療の普及などがあげられるが、中でも大きなものは食生活だ。野菜や魚貝類を中心とする食事が長寿につながっているのだが、最近は食事の欧米化が指摘され、健康への影響が危惧されている。
 健康の基本は日頃の食事や生活の摂生にある。貝原益軒も『養生訓』に「養生の道は病なき時につつしむにあり。病発りて後、薬を用い、針灸を以って病をせむるは養生の末なり。本をつとむべし」と、普段きちんとした生活をすることが養生の基本だと記している。ダイエット食品に頼って痩せようとすることは養生の基本から外れたことで、すでに精神は不健康である。体が資本のおスモウさんたちも、ダイエットに励む人たちも、いま一度生活の基本を振り返った方がよさそうだ。
 ところで問題の中国製ダイエット食品は「御芝堂減肥ル嚢」(おんしどうげんぴこうのう)「レ之素ル嚢」(せんのもとこうのう)という名で、難しい漢字が並んでいていかにも効果がありそうだ。おスモウさんの四股名も強そうないかつい漢字が並んでいるのだが、最近は名前負けしている。私たち日本人は漢字にある種の神秘性や魅力を感じることがあり、経穴の名称などは、ながめているだけで病気が治りそうな気がする。こちらは名前負けするどころか、その名に相応しい効果をますます発揮している。

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