西から吹く東洋への追い風
日本鍼灸マッサージ新聞 02.04.10..
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欧米では数年前から東洋思想がブームで、その中の一つに老子の「道(タオ)」がある。老子が著したとされる「老子道徳論」は人為よりも自然を説いている。
老子に「足ルヲ知ル、コレヲ富トイウ」という言葉がある。これは「不平不満を捨て満足を知ることで心の富を得る」という意味。科学技術の進歩は私たちの生活にあふれるほどの物質と情報をもたらした。次々と売り出される新製品は、いまの所有物をたちまち旧式にして購買意欲を煽る。携帯電話や電子メールの普及で人々は24時間情報に追いかけられ、取捨選択の時間さえない。そして、私たちは物質と情報に満足することを忘れた。これは医療や健康にも当てはまる。氾濫する情報に人間本来あるべき自然な健康の姿を見失い、進化する研究や検査技術は次々と病気を創造する。私たちは自身の健康状態に満足させてもらえない。
老子に「上善ハ水ノ如シ」という言葉がある。「水は自然に逆らうことなく低い場所へと流れ、やがて平等の高さになる。その姿は清らかである」と解釈される。自然の流れに逆らえば川底の砂を巻き上げ清流が濁る。また、自然に逆らう心も濁る。それは、情報に踊らされ、より以上の健康を求め続ける姿にも似ている。科学技術だけで人は健康体にはなれない。健康を欲する心がさらなる不健康を生む。
「科学の進歩が人を幸せにするのか?」という古い問いがあり、いまだに答えはない。欧米における東洋思想ブームは、人々がそろそろ本気で答えを求めはじめ、自らの手でその答えを探しはじめたものだろう。東洋医学への追い風は、西から吹きはじめている。