
はり治療室の窓から
文 月 肉離れ
はり師 堀口 隆 31
2002.7.10.
今世紀最初でアジア初、日韓共催という歴史的なサッカーW杯の熱戦が幕を閉じました。強豪チームが次々に姿を消した波乱含みの大会でしたが、その原因の一つに主力選手の怪我が挙げられるでしょう。あれだけの激しいプレーが行われれば当然かもしれませんが、骨折・捻挫・打撲・肉離れなどさまざまな症状が選手たちを襲います。![]() 一般に骨折の場合は医師の治療を受け、十分な養生が行われます。ところが、捻挫・打撲・肉離れの場合はスポーツ選手でもない限り、骨折ほどの手当ても養生も行われていないようです。腫れや痛みが少し楽になると、無理して動くためか後遺症を残していることが多く、特に捻挫や肉離れの再発が多いようです。 打撲は転んだり、人や物に衝突して起こり、患部は腫れて痛み、内出血で黒ずみます。捻挫は主に関節に無理な力が加わり、保護装置の靭帯や関節膜が伸びたり、圧迫されたり、裂けたりして内出血を起こし、腫れて痛みます。肉離れは、走る,跳ぶなど急激に筋肉を収縮させる動作で起こります。筋膜や筋線維が傷ついたり、線維の一部が切れて内出血を起こして痛みます。この3つは内出血・腫脹・疼痛・動作制限が特徴です。 筑波大学のメディカルセンターではMRIを使って、肉離れを起こしたとき体内にどのような変化が起きているかを調べました。それによると、筋線維が傷ついて周囲に血が溜まっている場合と、筋膜が傷ついて血がにじんでいる場合とがあること。血の塊(かたまり)は一時大きくなり、その後は次第に吸収され小さくなること。しかし、血がすっかりなくなるのは痛みを感じなくなった後であること。大抵は2〜3週間でなくなるが、中には数カ月もかかった例もあると報告しています。 筋肉は傷を受けてもすぐに修復を始めるのではありません。3日目ごろから治り出します。発傷から3日間は安静と冷やすことです。痛みが減ってきたら逆に患部を温め、痛くない程度に動かして血行を良くすると治りが早くなります。手足の場合は、左右同時に曲げ伸ばしして患部に痛みがなくなれば先ず安心。焦りは禁物で再発のもととなります。 以上、肉離れについて詳しく書いてみました。打撲・捻挫・骨折も同じように変化し、同じように治っていきます。傷の回復は、血管から流れ出た血の塊や病的物質を毛細リンパ管から吸収し、奇麗な血を患部へ送り込むことです。この働きを助けるのがリンパ系のはりです。新しい傷にも古い後遺症にも有効に働きかけます。レントゲン検査で骨折のないことがわかれば、はりを試みてください。最短距離の治療法であることがおわかりいただけるでしょう。 |
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