はり治療室の窓から
水無月 歯科領域のはり
はり師 堀口 隆 ナ
日本鍼灸マッサージ新聞 026.10.
今月は4日の虫歯予防デーにちなんで歯の話をしましょう。わたしは歯ごたえのある硬いものが好きで丈夫な歯が自慢でしたが、ついに歯医者通いをすることになりました。
俗に目や歯から弱るといいますが、わたしもそんな年齢になったことをしみじみ思い知らされています。しかし、わが身を痛むことは患者さんの体を治療させていただく者にとっては都合のいい研究台であり、直接命に関わりのないこの程度の病気ならかえってありがたいとさえ思っています。
さて、わたしのところへも歯が痛いとか、歯肉が腫れたといって治療にみえる人が少なくありません。例をあげてお話ししましょう。
その1.わたしの娘が以前、左下奥歯の痛みを訴えたことがありました。1日、2日は我慢していましたが、3日目には我慢できなくなったとみえ、歯医者へ行くと言い出しました。しかし、予約制なのですぐ診てもらえるかどうかわかりません。そこで、わたしの出番となりました。見ると歯肉の腫れはたいしたことなく、下あごの裏側でリンパ節が腫れており、それを押すと痛みが歯にひびくと言います。ここを中心に、肩、首からはりを行った後電気で温め、約40分の処置で終わりました。数時間たった夕食時には何とも言わずに食べていました。結局この1度の治療で痛みはおさまってしまいました。その後の歯の検診では虫歯なしとのことで、寝不足や疲れからきた一時的な痛みだったようです。
その2.36歳の主婦が歯の痛みの訴えで来られた例です。もともと肩こり症で、こると歯にくる、今回も2、3日前から左下の歯肉が腫れ、食べるのもしやべるのもつらい、昨夜は頭まで痛み、眠れなかったとのことです。見ると顔の左半分が腫れ、あごの下部分のリンパ節が大きくなっていました。処置は左右の肩、首、こめかみ、そして中心部の左あご下へとはりをし、電気で温めて、初回は終わり。しやべりやすくなった、何か食べられそうだと言って帰られました。翌々日2度目の治療を行いましたが、「すっかり楽になりました」と言って大変喜ばれていました。
はりでは虫歯や欠けた歯の修理はできません。しかし、歯肉の腫れをひかせ、痛みを取るなど応急処置ができます。また、根気よく続ければ歯槽膿漏も治せます。