かかりつけ鍼灸師がこれからのあり方

   

日故代田文彦氏が教示した鍼灸師像とは
第45回日本臨床鍼灸懇話会全国集会 東大図書館で開催
日本鍼灸マッサージ新聞 07.1.10.

 日本臨床鍼灸懇話会(木下滋会長)が12月9日、10日、第45回全国集会を東京大学医学部付属図書館(東京都文京区)で開催した。
 特別講演『臨床鍼灸師のありかた 過去・現在・未来』では、(社)全日本鍼灸学会東京地方会会長の山田勝弘氏が、故代田文彦氏が教示した鍼灸師像について語った。21世紀の鍼灸師のあるべき姿として代田氏が提唱していた「侍医の医学」は、個を重視した全人的医療の典型。「鍼灸師をこの侍医の医療態度をそのままにして、重い病気を扱う能力を備えつつ現在のレベルまで引き上げるように改造すれば、良質な理想的な医療が出現し21世紀に課する役割は大きい」と、代田氏の言葉を紹介した。
 代田氏の教示した内容を踏まえて山田氏は、地域医療の一員に加わりその地域の患者にとってのプライマリ・ケア以前の「ふるいわけを担う鍼灸師」、すなわち「家庭鍼灸師(かかりつけ鍼灸師)」がこれからの鍼灸師のあり方だと述べた。また、代田氏の夫人・瑛子氏は「(代田文誌・文彦両氏の)2人を乗り越え、踏み台にして鍼灸をさらに発展させてください」と檄を飛ばした。
 森ノ宮医療学園専門学校の尾崎朋文氏は、『鍼灸での医療事故・過誤症例に学ぶ』を教育講演。自験例を交えながら、類似した事故や過誤でもトラブルになったケースとならなかったケ
ースとの違いを説明し、根本は治療者と患者及び家族との信頼関係の有無に起因するとした。刺鍼部位の局所解剖学と安全深度についての知識、危機意識を持つことなどは医療事故防止の基本であるが、「リスクマネジメントで最も重要なことは、患者のみならず、その家族とのコミュニケーシ
ョン、すなわち信頼関係を早期に築くことです」と締めくくった。
 この他、名古屋大学医学部付属病院総合診療部の佐藤寿一氏による教育講演『プライマ
リ・ケアにおける頭痛を主訴とする患者さんの診療』、同会理事の佐藤正人氏による公開実技『鍼灸臨床学-変形の診方-膝関節の視診と触診』が行われた。『ストレスが関与していた肩こりの
治験例』『情報コーディネート鍼灸の立場で扱った股関節外旋筋痛』『チョコレート嚢胞か原因と診断された下腹部痛の治療と患者対応』など5題の臨床討論では、演者とフロアとの間で活発な討論がなされた。