日本鍼灸マッサージ新聞 02.07.10..
| 世界中のファンを楽しませてくれたサッカーW杯がブラジルの優勝で幕を閉じた。サッカーW杯は国と民族の名誉をかけてたたかう世界最大のスポーツ祭典。プレーする選手が必死なら、試合を裁く審判も真剣勝負だ。主審が1試合で走る距離は平均12`。ゲーム全体を見渡しながら1試合90分間、同点で延長戦にもつれこめば最長で120分間、体力と集中力を維持しなければならない。選手以上にハードで重要な役割を果たしているのが審判たちで、その肉体のコンディション調整は大会の成否を大きく左右する。今大会、その審判団の身体のケアを担当したのが、鍼灸マッサージ師の妻木充法さん。全世界が参加する巨大スポーツイベントの最終ラウンドの審判団を、東洋医学を実践する一人の手技が支えた。元西ドイツ代表で日本のJリーグでも活躍したリトバルスキーは、その手を「神の手」と賞賛したという。 W杯の中継を観戦していて気になつたのがカタカナ言葉。「フィジカル」「ピッチ」「シミュレーション」などなど、日本語で言えないものだろうか。医療の世界にもインフォームドコンセント、セカンドオピニオンなどカタカナが氾濫している。とくに医学界ではここ数年「エビデンス」が大流行。Evidence Based Medicine(EBM、科学的根拠に基づいた医療)、「EBMの確立」とか「EBMに基づいた」のように使われ、エビデンスは最近の医療を語る際のキーワードとなっている。 さて、東洋医学界にもエビデンスの動きがではじめている。日本東洋医学会(石橋晃会長)ではこのほど、会長直属のEBM特別委員会を発足させた。同学会のこの動きは、これまで非科学的とされてきた東洋医学を現代医療の場で正当に評価するため、東洋医学を西洋医学と同じ土俵にあげたものである。また、先日開催された全日本鍼灸学会の学術大会では鍼灸が生体に与える影響を科学的に検証する取り組みが目立つた。 長い歴史を誇る東洋医学が現代まで受け継がれてきた理由は、その治療効果が社会に認められ支持されてきたからである。歴史の中で蓄積されてきた経験医療の東洋医学を科学で実証する必要はないという意見の人もいるが、東洋医学が未来に引き継がれさらに発展するためには現代科学による研究と検証が必要である。エビデンスの確立は学会や研究者主導で進められるだろうが、臨床現場に立つ施術者たちにも実践者としての参加が求められる。東洋医学による生体反応の一部はすでに科学的に証明されている。今後、これらがさらに拡大しEBMが確立されれば、東洋医学の新たな歴史がはじまる。 |
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