統合医療への潮流
日本アーユルヴェーダ学会から
日本鍼灸マッサージ新聞 02.1.10.
21世紀の幕開けは、医療の世界にも大きな変革をもたらしました。ヒトゲノムの解析、クローン技術が医療に果たす役割は計りしれないでしょう。一方、人間の多様性を切り捨ててきた西洋医学の限界がささやかれているのも事実です。その結果、鍼灸、アーユルヴェーダ、ヨーガなど伝統医療が世界的に注目を集めることになりました。さらに、統合医療の必要性も唱えられ、伝統医療に寄せられる期待は今後ますます大きくなるでしょう。そこで、福島県で開催された日本アーユルヴェーダ学会から特別講演2題を紹介します。
白石教授は、西洋心理学的なアプローチに加え、禅やヨーガなど東洋的な手法を応用した独自のメンタルトレーニングで、日本のトップスボーツ選手の指導を行ってきた。
まず、「ゾーン」とは「スランプ」と対極にあるもので「スポーツなどで、ごく短時間ではあるが究極の集中状態に入り、素晴らしいパフォーマンスを発揮することがある。このピークパフォーマンス、忘我の境地がゾーンである」と説明。
人間は本来、素晴らしい潜在能力を持っているが、感情・思考・意識部分といつたエゴによって妨害されているとし、大舞台での強いプレッシャー下でもゾーンの世界に入るためには、エゴを除外するトレーニングが重要であると述べた。これらエゴを取り除いた真我を体現することは、瞬間的な悟りということができるとした。
インドから参会したラグラム氏は、宗教を超える普遍的な教えとして、戦場を舞台に行われるクリシュナ神ととアルジュナの対話で構成される神の詩「バガヴァ・ツド・ギーター」を解説。
クリシュナ神の教えは人類にとつての英知で、ここではクリシュナ神を「内なる声」と考え、一方アルジュナを、外界の状況に煩わされる一般的で自然な感性の持ち主と解釈。そして舞台が戦場となるのは、善と悪の力が絶え間なく戦っている状態を示し、まさに人生そのものが語られているとした。そのために瞑想修行をし自身の内側に意識の働きを求めることによって、外界からの力より内なる神性なものに日々の生活のなかで教え導かれることになると説いた。