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26

兼続「おお、左近!三成はいるか?」
左近「いえ、すいませんが、秀吉様に呼ばれてまして」
兼続「そうか!!では左近、かわりに伝えといてくれ」
左近「はいはい。なんですかな」
兼続「うむ!!まずは義と、私が敬愛する謙信公が話された事なのだが……」
左近「(はっ……つかまった!)」







25

三成「左近、兼続のところへ行く、準備しろ」
左近「はいはい、え〜とこの前借りた書ですかな?酒ですかな?それとも幸村ですかな?」
三成「…………幸村と答えたら、幸村が出てくるのか?」







24

左近「おや、幸村じゃないですか」
幸村「左近殿!!お久しぶりです!」
左近「……久しぶり……久しぶりなんですなあ、そういえば」
幸村「なんですか、その反応は?」
左近「いやいや〜元気そうで何よりだということですよ
   早く、殿のところへ会いに行ってやってください」
幸村「は……?あ、はい、そうします」
左近「できれば、その時感動の抱擁もお願いしたい」
幸村「へ!?抱擁……ですか?」
左近「でなけりゃ何するかわかりませんよ」
幸村「だから、なんですか、一体」







23

小刀に添えられた右手が、すらすらと動く
ひら、と切り取られた白い紙

兼続「できた!!」

ひらり、見事に切り取られた『愛』

三成「……それをフスマに張るつもりか」

刷毛でのりを練りながら三成、
2人の間には横たえられた、襖。大きな破れあり。
兼続「格好いいだろう!」
三成「穴が塞げんだろ〜が!!」
左近「はいはい、い〜からちゃっちゃと直してくださいね」

仁王立ちで二人を見下ろしながら呆れ顔の島左近

幸村「あの……手伝いましょうか?」
三成「幸村……すまん、情けないところをっ!!」
左近「ほんとにそ〜ですね、
   いや幸村、甘やかしちゃいけません、
   自分でやったことの始末ぐらいはしてもらいます」
三成「俺はやってないだろうが!」
左近「煽ったでしょう、それにここは殿の部屋ですし、一緒に居たんでしょうが」
兼続「む……悪い、不義に対する憤りで、ついついびーむが……」
左近「客間でやったんだったらよかったんですけどね」
義トリオ「え?」
左近「上杉殿あてに請求書を書いて終わりです。あれは高いんですよね」
兼続「ご、ごめんなさい……以後気をつける」
左近「いえ、もういいですよ。反省されたようですし」
三成「ちっ……」
左近「殿……そうだ、幸村
   蛇味線には興味ないですか?」
幸村「え?」
左近「やってみると結構面白いものでしてね
   いまあっちの部屋においてあるんですけど……」
幸村「じゃ蛇味線……ですか?」
左近「おっ、興味ありますか?では早速披露しますかな」

背中を押しつつ去っていく二人

三成「ゆっ幸村!? やめとけ、幸村!!これは本気の忠告なんだ!!
   幸村〜!!」
兼続「ぺたぺた、おっ、この穴の大きさは私の護符とピッタリだ!よかったな!!」
三成「お、音痴の癖に〜、左近〜!!」







22

三成「すっぱ!!」
幸村「うわ!?み、三成殿、大丈夫ですか?」
三成「〜〜っく、酢っぱぁ!こ、この握り飯すっぱ過ぎるぞ!!」
兼続「なんだ梅のことか、いちいち大げさだな」
三成「大げさではない!」
幸村「おっ、お茶!お茶を!」
三成「うむっ……は〜……物には限度があるだろう!責任者出てこい!!」
兼続「実は私だ」
三成「何だ、そうか (ぐに)」

徐に右手を伸ばし、兼続の頬を引っ張る。

兼続「いらいな……ふむ、幸村の前でえらい顔だったからな……」
三成「喧しい (更にぐに)」

更に左手を伸ばし、頬を引っ張り……

幸村「……お二方とも何をやっているのですか」
三成「はっ!」
兼続「ふう……まあ、お前の気持ちは通じたぞ!」
三成「何がだ!」
兼続「こっちの『外れのないおにぎり』と交換してやろう」
三成「『外れのない』?」
兼続「中に具がないのだ」
幸村「それは……外れがなくても当たりもないですね」
兼続「これならば幸村の隣で食べてても問題ないぞ!」
三成「なっ!?」



幸村「別に隣の人のを取ったりなんてしませんよ!」
兼続「……いや、そういう意味で問題なのではないのだが……」
三成「(そ、そんなにえらい顔だったのか!?)」






21

兼続「い〜ちまいが〜二枚っ!二枚が〜四枚っ!!」
三成「何、歌ってるんだ」
兼続「護符に使う紙を切ってるのだ!」
三成「あれはお前が作ってたのか……やっぱりといえばやっぱりだが
   えらく楽しそうだな」
兼続「まあな!!
   お前も自分の武器を扱ってるときは楽しそうだぞ!」
三成「この扇か?……そうかあ?」
兼続「爆弾の方だ」
三成「…………」
兼続「自覚はあるようだな」
三成「……そ……そんなに楽しそうか?まずいか?」
兼続「ん?別に気にするな
   幸村も自分の得物を手入れしているときなど本当に嬉しそうだぞ!!」
三成「幸村が?」
兼続「幸せそうというか、全開の笑顔というか……」
三成「そ、そうか(ドキドキ)」
兼続「あ、悪い……期待しているような雰囲気ではなかったな……」







20

幸村「ふう……三成殿に会いに行くか」
才蔵「え!!な、なな、何かあったんです!?」
幸村「え?何って……」
才蔵「誰かに何か頼まれたとか、呼び出されたとか、脅されたとか」
幸村「お、脅された……?う〜ん……別に理由はないんだけれど」
才蔵「何故ですか!?」
幸村「いや、だから別に……」
才蔵「ならば無理に今日行かなくても良いではないでしょう
   昨日会ったばっかりじゃないですか」
幸村「そう……かな、でも」
才蔵「『でも』ってなんです!!!!」

小助「お〜あんまり追求すれば藪蛇だろうに……
   ちょっとおちつけ、才蔵」
才蔵「否だ!!」
小助「というかのお……『客人』だぞ」
幸村「えっ」
才蔵「追い返せ」
幸村「……もー」
才蔵「あっ、どこ行くんですか幸村様!駄目ですってば幸村様!」
小助「だからおちつけって」
才蔵「だから否だって!!」







19

景勝「(む……あれは確か……)」
兼続「うん?慶次ではないか、どこか行くのか?」
慶次「ちょっくら海でもと思ってね」
兼続「海!そうか、楽しんでこいよ!!」
慶次「おう!!」
景勝「(……海か……)」
兼続「お土産も頼んだぞ!!『う』ではじまって『に』で終わるものが良いな!!」
慶次「あ〜……いたらな」
景勝「(海……『う』……『に』?……まさか!?)」
兼続「気をつけてな〜〜!」
景勝「……そう、だな……」
慶次「……?」(首傾げ)


で、お土産は 1000両


兼続「うに……」
景勝「……」

そろってがっかり

慶次「いや、わりぃなあ」
兼続「いいのだ……無事なのが一番だ
   これだって、義の詰まった大事なものだ(がじがじ)」
慶次「かじるなよ」
景勝「……牛鬼……」
慶次&兼続「「え?」」






慶次演武の話
ちなみに『うしおに』『ぎゅうき』は妖怪、みたいなもの。