あちち


「三成ぃ!!私を打ってくれ!!!」
「うわ!?」

突然の友の、とんでもない申し出に青ざめる。
実際、兼続の目はかなりいっちゃってた。

「『かきん』を、『かきん』をおおっ……」
「はあ!?」

言語までおかしい。





「……要は『志那都神扇』の属性攻撃のことか……」
「くっ、こうも暑いとは思わなんだ。なんでお前は平気なのだ」
「いや」

ぱちり、と普通の扇を広げる。

「暑い。平気じゃない。暑い。」

ばたばた、と乱暴に扇ぐ

「が!だらけてる暇などないのだ!
この暑さのせいで!
人がぱたぱた倒れるは、その対処で仕事は増えるは、だのに人手は足りなくなるは……
俺は意地でも倒れん!みっともない姿など見せられるか!」

びしり
太陽に向かって

「貴様には負けんぞ!!!」

仁王立ちで叫ぶ三成も結構参っていたのかもしれない。

「……お前も越後に逃げたりするなよ……義に賭けて」
ぽそりと付け足した。
「くっ、義が……義が負けるわけにかんのだ!!」
「あ、やっぱり三成殿でしたか」
「ゆ!!」
「幸村」
仁王立ちのまま固まる三成と、ごろごろ転がっていた兼続……結構異様な光景だったかもしれない。
だが、特に気にする風もなく近づいてくる。
「声が聞こえましたので」
「……そうか」

聞かれたのか……

「丁度よかった、と……捜していましたので」
ふわ、と笑みが広がる。

捜していた……?





「三成殿……」
「幸村……?」

潤んだ瞳がまっすぐに見つめている。
その頬が赤く染まって……

赤い?





「私を打ってください……三成殿っ」





ブブッ

赤い色が散ってゆく





「おい!?三成!意地でも倒れんのではなかったのか!!」
「暑いですよ〜〜……ぐすっ……」
「わあ!?泣くな幸村!!」


「わ、私を置いてくなあっ!2人ともぉ!!」



輝く太陽の下、兼続が倒れるのも時間の問題





おわり    もどる



結局左近を残しといて
琵琶湖へ避暑にいきました。