「う~む……」
「何を首をかしげているのだ、兼続」
「ん?」
三成の呼びかけに斜めになった兼続が振り返る。
「何か考え事か?」
「……考え事、といえばそうだな」
との答え

兼続の悩みか……
「なんだ?気になることでもあったのか?」
半分は好奇心で、でも半分はやはり心配になって尋ねる。
「うむ……」



「兜の重心がおかしいのだ。どうしても右に傾くのだ。」
「……そんな長いの被ってるからだ……」
かくり、と三成の首も同じ方向へ傾いた。

「おかしいな……はっ、もしや何者かの工作!?」
「そんなわけあるか!そもそも外せばいいことだろうが」
「外す!?」
と兼続驚いた声を出す。
「な、何だ?」
「しかしこれは――大事な……大切な兜なのだ」
と何時になく真剣な顔
「初陣より、幾多の戦場をともに潜り抜け……」
「そ~かもしれんが、ちょっと外して修理するだけだろう」
「被ってないとなんとなく調子がおかしいし」
「今、おかしいんだろうが」
「それに……外すと誰だかわかりにくいんじゃないかと思うのだ……」
「……そんなことは……」

ちょっとあるやも





そこへ2人を呼ぶ声が、見れば幸村が駆けてくる姿。
「あれ?兼続殿、どうされたのですか?」
「幸村!」
「何か、心配事でも?」
「ああ……聞くな幸村」
まあ、そう見えるよな、と思いつつ説明する三成

「兜?」
と幸村も同じ方向に首を傾げたかと思うと



がんがんがん、ごんっ



「うわ!?」
「ゆっ!?」

いきなり槍の柄で兜の先を殴る



「……ん?おおっ!!直ったぞ!!」
と兼続の ななめ が直る。
「それは良かったです!」
幸村がにっこりと微笑めば
「うむ!流石は幸村!」
真っ直ぐに立って爽やかに笑う兼続
「な……け、結構乱暴な……」

三成一人、引きつった笑顔



「さっき座ってた時おかしくなったんじゃないですか?」
「む、やはりそうか」
「座って?」
嫌な予感がする三成
「うむ、これを手ごろな物にかぶせると安定感が……」
「椅子にすんな!!
 大切なものじゃなかったのか!?」
「うむ、幾多の戦場で使ってきたぞ?」
「使ってきたのか!?被ってないと調子がでないのではなかったのか!!」
「ずっと被ってても調子がおかしいだろう?」
「そりゃそうか!?」

けろ、として答える兼続に、真っ赤になって叫ぶ三成
ぜいぜい、と息を切らす

「どうした?三成こそ調子が悪そうだな」
「大丈夫ですか?三成殿」
「幸村……」

なんで俺が労われてるんだ、と思いつつ
頭を、幸村の肩にもたれ掛ける



「む、実は頭が重いのではないのか?そのツノ取り外して……」
「いらん……ってツノじゃない!!」





おわり   もどる




ネタがダストシュート……(なんてこったい)