「幸村!今日は直江兼続だ!!」
「は?」



「今日は私は『真田幸村』となる。」
「はい?」
「で、お前は代わりにに『直江兼続』となるのだ!」
決定済みらしい
「なれ、と言われても……」

当然、困惑する幸村

「ちょっとした遊びだ、お前の思うような私らしく過ごしてみればいい。」
「はあ……」
兼続殿らしく……?
「大丈夫なんですか?まあ私の方は今日は特に予定もないですから」

家で読書でも、あ、これは結構兼続殿っぽいかも

「そうなのか?私も『予定』はない、がやることはある!」
と叫ぶ兼続

え?何か仕事などがあるのだったら責任重大。大変ではないだろうか……

「うむ!義を行うのが日々のなすべきことだ!」
「!!」
幸村に衝撃が走る
「分かりました!!」
私も今日一日、いえ!日々義を行おう!

と心に誓い
……結局うやむやの内に『直江兼続』をやることとなった。





「なんだその格好は?幸村……」
「あ、三成殿!」
三成が見たのは背中に『愛』の一字を背負った幸村の姿だった。
「違いますよ、今日は兼続殿なんです!」
「は?」

当然、困惑する三成。

「……というわけで、今日は兼続殿と交代しているんです」
「何を考えているんだ……あいつは」
と頭を抱えて三成は幸村、否『兼続』の隣に座る。
「ゆ……いや、お前も大変だろう」
それでも律儀に付き合う三成
だか『兼続』は
「いいえ!」
と笑顔全開で答える
「最初は確かに戸惑いましたけど、
兼続殿がどう考えるだろうかとか、どんな風にするだろうかとか、
兼続殿『らしく』を色々考えるのが案外楽しかったですよ。」
「…………」
「もしかしたらそういったことを考えるために言い出したのかもしれません
兼続殿の『幸村』はどんなでしょうか?」
ちょっと楽しみです。

「ゆき……兼……いや、お前、つ、次は俺に……」
「は、無理ですよ〜殿」
とやってくる左近、手には仕事の束
三成の隣に並べて置く、
「流石に暇がないですし、責任も重いですから。」
「……わかっている……」
がくり、と書簡の山にもたれかかる、
「しかしそういう訳だったんですねえ」
「え?」
「いえ……あちこちで『幸村』が暴れていると聞いたので」
「「は!?」」





「じゃまするぞ〜!!」
とそこに現れたのは真っ赤な鎧姿の兼続……いや『幸村』
従えるのは真っ赤な六文銭の旗を掲げた十勇士の一人
ばたばた、といささか疲れ気味に振って見せた。

「兼続殿!?」
「違うぞ!幸村……じゃなかった『兼続殿』!!!」
「何をやっているのだ、お前は……」
「うむ、『幸村』として武技の腕を磨くべく、 とりあえず片っ端から果し合いを申し込んでいるのだ!」
「……か、兼続殿から見た私って……」
落ち込む『兼続』
「おまえなあ……」
「今日は三成……殿に用があって来たのではないのです!」
そう叫んで傍で見守っていた左近へと向く
「といわけで左近殿!勝負です!!」
「え!俺!?」

びしり!と槍を向ける
「いざ!推して参る!!」
だが構えたのは護符だった。
「いや!ちょ、ちょっと!?」
慌てて左近後ずさり、隙を見て逃げたした。
「まてい!!」
「無茶言わないでくださいよ〜」

ばたばたばた

六文銭の旗も追う





残された2人
「……それは……羨ましいです」
「幸村?!」





おわり   もどる