例えて言えばここは台風の中心
風もない気配もない
―――外には色々渦巻いているのだろうが
静寂があり暖かであった
―――連中の絶対零度の視線と叫び声が聞こえるような気もする
「幸村」
と名を呼ぶが、眠いのだろうか穏やかな目で微笑んで見下ろすのみ
「幸村」
彼の膝に頭を乗せて、自身も半ばまどろみながらただ名前を繰り返す。
自分も彼と同じ穏やかな笑みを浮かべているのだろうか
幸村の見る自分も幸せそうな表情を浮かべているのだろうか
「幸村……」
例えて言えばここは台風の中心
時が来れば嵐となって
―――激しい戦いが予想されます
それは何時?敵の数は?位置は?援軍は?
(ふん……)
「だが勝者は俺だ!」
「……三成殿?」
おわり もどる