すみません、うっかり別のを同じ名前で上書きしてしまった(そのうえ長いこと気付かなかった)ため、別の作品が表示されていたようです
後日(2007年2月25日)書き直しました……
ご迷惑をお掛けしました。






28.目の前で閉まるドア



―――真田幸村 苦戦―――

ど~ん

という衝撃音とともに走り出す



「幸村~~!!」
「とっ殿!!どこ行くんですか!!」
意外に足の早い三成とそれを必死で追いかけてゆく島左近
「殿!殿までが前戦に出てどうするんですか!?
幸村ならば大丈夫ですよ!」
「何を根拠に!?」
「勘ですが」


だかだかだかだか


「……わかりました、俺が行きますから」
「いらん!俺が行く」



ざんっ
空を薙ぐ音とともに殺気立った兵たちが数人弾かれる
飛翔する艶やかな色の大扇
ぱん、と片手でとらえ、その場を圧するように立ちふさがる

『幸村!無事か?』
『三成どの……天下一、カッコいいです!!』
その背に向けられる幸村の眼差し



「……下心ありですか……」
「違う!断じて違うぞぉ!!」


……どどどどどどどどど


「何だ?この音」

どどどどどどどどどどど

「感動したぞ!!三成!!」
馬蹄の音とともに現れるのは白馬に乗った直江兼続
「己が身をかえりみず駆け出すその愛!!
 無謀だが無心!無茶だが無限の!そう、愛!!
 及ばずながら私も力になろう!!」
「ならその馬をよこせ」
「無理だ!」
「何故だ」
「力とはこれだ!!」
といってぐい、と手綱をひく

馬が大きくたちあがり

どぉ~ん、と衝撃波

「うわ!」
「なにぃ!?」
なんとか転がってよける三成と左近
「いつでも無双秘奥義を出せるよう『げーじ』を赤くしといてやろう!」
「何を考えてる!!というか何をいっとるんだお前は!!」
「俺を巻き込まんで下さいよ!!」
「遠慮はいらん、気にするな」
「気にしろぉ!!!!」






「はあっはあっ……くっ
 う……馬より速く走れるとは、な……はあっ」
己の潜在能力に驚きつつ、あたりを見回す
兼続も左近も見当たらない

まあ、無事だろうよ、あの連中は
こころに浮かぶ一人の姿
「幸村……無事でいてくれ!」
一つの方向を見定めて、再び走り出した。






無数の獣のように、だが一つの意思を持って間断なく波のような攻撃が続く
持てあぞぶように繰り出される爪は剥ぐようにひとり、また一人と
中心に立つのは一人の赤い若武者



ざんっ

ばりばりばりばりばりばりばり

白い雷光が空を走り、殺気立った兵たちが纏めて弾かれる

「無事か」
「立花殿……あ、ありがとうございます」
「礼はいい」
びゅうと剣を一振り
「生き残れ」
言葉だけを残して、そのまま振り返りもせず走り去る
見つめる幸村の、眼差し



「くっ……天下一、カッコ……いい」
すこし離れた場所にて、三成 がくり、と膝をついた。






おわり    もどる