お題「12.四畳半」(と、一応「だらだら 5」)の続き




兼続「今日呼び出したのは他でもない、これを見てくれ」
幸村「土鍋……ですね」
三成「熱々だな」
兼続「つい先ほどまで煮込んでいたからな!
   何、次こそは三人でまともになべを食べようと、修行を積んできたのだよ」
幸村「修行にですか!!兼続殿……
   そこまで我らのなべのことを考えていて下さったとは!!」
三成「修行ぉ〜?いつの間に……そういやここ2、3日見かけんとは思ったが……
   何やっとるんだ、お前は」
兼続「何って、修行だぞ?
   山に篭って、滝に打たれたり粗末な庵で読経三昧だったり」
三成「間違ってるぞ、兼続」
兼続「うむ!!その成果がこれだ!!」
三成「うむじゃねえ」


かぱり、と開けば、辺りに白く立ち昇る


幸村「うわ〜!いい匂いです、おいしそうですね」
三成「……ほ、本当だな……意外だ……これはお前が作ったのか?」
兼続「一応、そうだ」
三成&幸村「「一応?」」
兼続「さあ、冷める前に食べてくれ!丁度食べごろになるよう煮込んできたのだ
   今回はキノコは入ってないからせめてニンジンは食えよ」
三成「……ぐ……」
幸村「これは……おいしいです!!左近殿や慶次殿も一緒であればよかったのに」
兼続「今回は実験もかねてなのでな、あまり量が作れなかったのだ」
三成「……実験と言ったか?」
兼続「まあ、練習とも言うか」
三成「どっちにしろひっかかるな、何をした貴様!!」
兼続「何を言う!!私がお前たちに何かすると思うのか!!」
三成「くだらん上にろくでもないことはやりそうだ」
兼続「くだらんとは何だ!!」
幸村「落ち着いてください、二人とも
   今度こそ皆でなべを楽しむのではなかったのですか?」
兼続「は!そうだった」
幸村「本当においしいですよ?三成殿」
三成「幸村……だ、だが……」


はい、と幸村から手渡され、眉間に皺を刻んだまま一口


三成「……うまい」
兼続「そうか!!それはよかった!!お前は心配しすぎなのだ」
三成「……いや、兼続が心配になるようなことを言うからで……一体何だったのだ……?」
兼続「普通のなべだというのに」
幸村「でも食べたことない味ですよ、郷土料理とかですか?」
兼続「いや、『式神なべ』というのだ」
三成&幸村「「ぶっ」」
兼続「修行の成果だな!まだ長時間使うことが出来ないのだが」
三成&幸村「「…………」」



幸村「まあ……なべは普通のなべですしね……」
三成「そうだな……問題ないな……
   段々問題に感じなくなってきているのは、問題な気もするが……
   なべは普通のなべだよな……」
兼続「よかったよかった!
   やはり寒いうちに楽しんでおかねばな!!」



日差しは弱く空は青く
風は冷たく強く
やがて春を迎える、そんな日の出来事



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